「ボーダーライン」というとSicarioが原題の暗殺ものシリーズがあるので、ベニチオ・デル・トロが出やしないかと期待する向きもありますが、これは全然違う話です。
大学を卒業後、紙ナプキンのスーパーの置き場所を調査する仕事で日々を過ごす、作家志望の若者ジェイ。いつかは作家として売れてやると思いつつも、どうしたらいいのかわからずもがく日々。
最初、ソマリアというのが国として登場するのかどうかすらわからないような始まり方をしたのでどう転ぶのかな、と思っていたら、ぎっくり腰で通った病院で出会った元ジャーナリスト(アル・パチーノ)に出会ったことで、新たにやる気が沸いて、学生の時に論文に書いたソマリアの海賊事情を調べようと思い立つ。
実際に行ってみると、大統領やその息子、通訳に囲まれて、いろいろと新しいことに出会っていく。海賊とのインタビューには肝を冷やしたり、命の危険と隣り合わせでも、市場で一目惚れした海賊の妻のところには足しげく通う、という、才能あるんだかないんだかわからない感じ。
ひねりは、関係者には著名ジャーナリストと名乗っていろいろとアポをとっているんだけど、実は実績の何もない、しがない元セールスマンだというところ。途中で頼っていたツテからの出版工作も頓挫し、資金も底をつき、あわや万事休すかという局面も。
それでも欧米の船をねらう海賊の船に乗って、捕虜の映像を押さえて一発逆転をねらう、などしているうちにアメリカとソマリアの関係が悪化して、出国。国に帰ってみると、ソマリアとのつてがない各種情報機関やメディアから引っ張りだこになってよかったね、という話。
途中、彼のやりたいことは、とか彼のほんとの強みは、とか、最終的にはどうなれば映画としてオチるのか、見えなくてちょっとつらい部分もあるのですが、最後は故郷に錦を飾って、公聴会ではちょっと偉そうな演説をして終わってます。
ちょっと「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のディカプリオを思い出しますかね。あと、通訳との人間関係の感じが「キリング・フィールド」にも似たところが。
エンドロールを見ると多くのキャストが難民の過去があるらしく何年に避難したか表記されていました。