話としては、なんてことないですけどね。
まずイタリアで、奇想天外な手法で金塊の入った金庫を盗み出して、それが仲間の裏切りで失われ、リーダーは死ぬ。
一年後、その残党のリーダー、チャーリーが裏切った本人を見つけ出して、盗み返す計画を立てて、うまくいく。
話としてはそれだけ。仲間に入るのが、殺されたリーダーの娘ステラで弔い合戦になっている、というのがポイントで、彼女は堅気な世界に生きているけれど、金庫破りの腕は超一流で警察などにアドバイスをしているというひねり。
だから、最初は乗り気ではなかったのだけど、父の薫陶を受けて育ったチャーリーへの興味、父の仇スティーヴへの復讐心などが軸ですかね。
どうも、あらすじとしての主人公はチャーリーとして設定されているようなのだけど、実際にはシャーリーズ・セロン演じるステラの方が立ってしまっているのが少し惜しいというか、マーク・ウォールバーグが少し主役っぽくないというか。
ドナルド・サザーランドが冒頭で殺される役。裏切るスティーヴはエドワード・ノートン、と癖のある俳優さんたちが揃っていたんですが、ちょっとスティーヴは行き当たりばったりに殺したり、単純な物量作戦で金塊を運ぼうとしたりと、あんまり頭よくない感じでしたね。
殺した相手に娘がいるならいつか復讐されるかも、と顔ぐらいチェックしているはずだろうし、なんでばれないと確信して潜入できるんでしょうね。ステラは腕には自信があるようだけど、そのクールさと自信のなさも少しちぐはぐな感じ。心情的にはどこで揺れるのか、もう少し踏み込んでもよかったかも。
途中でロシアン・マフィアを刺激してしまうところ、もっと入り組んだ話になるのかと思ったら、最後のどんでん返しのための道具立てという感じで、あまり絶体絶命のピンチ、というのはなかったように思います。
まあ、ストーリーは単純で、最後はちゃんと大技で逆転するので、爽快感はあるし、無駄な人死にも出ないので、そういう部分はよかったです。
エドワード・ノートン、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ステイサムが後にこれだけ人気が出たと知って観るからなのか、もっとはじけてもいいんじゃないかと思ってみてしまうのは欲目でしょうか。