コーエン兄弟の初期作品。それほどの深みを感じるかというと、ちょっと疑問ですが、人間への洞察はそれなりに感じます。

通称ハイ(ニコラス・ケイジ)は考えなしに繰り返し軽犯罪で刑務所に入ってしまう若者。刑務所に入るときに写真を撮っているエド(ホリー・ハンター)に一目惚れ、数度の服役の後にプロポーズ、出所後にめでたく結婚。

ところがエドには子どもができないとわかり彼女は絶望。折しも生まれた家具店の社長の五つ子のうち一人ぐらいならさらってもいいだろう、と乱暴な計画を立てます。それが案外うまく行ってしまったりして、でもそこに刑務所仲間が脱獄してきたりして、暗雲が立ち込める。さらに独自に赤ん坊を追う地獄の使者のようなスモールスという男まで乱入してきて…。

出てくるキャラクターの誰もが大マヌケかクズ、という感じで、特に初期のニコラス・ケイジって、バカっぽさがイライラさせるキャラクターでもあるので、前半ちょっと胸焼けしました。

脱獄コンビが赤ん坊を連れ歩くうちに、次第に感化されていくところなんかちょっとくすっとしてしまったり、家具店の社長が、最初は傲慢なだけの人かと思ったら、エンディングで案外いい人だとわかったりして、ハイとエドの成長の物語としてまとめた感じです。

ちょっとギャグとしてはベタな表現がおおくて、くどいと感じる人もいるかもしれません。とにかくホリー・ハンターの表情の変化が豊かで、彼女を観るために観る映画と言えるかも。