「サイコ」のノーマン側から描いた話、というのが一番の特徴でしょうか。

これが、精神疾患を抱えた患者の側からの問題意識ならば興味深い、とも言えるのですが、正直な話、あまり深い洞察なしに笑いのめす健常者からの冷やかしに見えてもしかたない、と思えてしまって、もう一つ深みを感じられませんでした。

ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリックという実力派を被害者に仕立てて、心ならずも連続殺人事件を起こしてしまう精神分裂症?の患者の心理を描いていくのですが、どれも殺人の直接のきっかけがあんまり説得力ない。そして、テンパるとやたら暴力的になるという描写の繰り返し。

精神科医の途中何度かの面接も描かれるのだけど、これも本気で患者を心配するなら、もう少し真剣に調べろよ、と思いたくなってしまい、二人目のリサが行方不明になった段階で当然警察を呼んでいなければいけないところ、職場は一体なにをやっていたのか、とか、職場に精神障害者を雇用することに対していたずらに不安をあおるプロパガンダにつながりはしないか、とかそういうことばっかり気になってしまいました。

唯一の救いはリサとのロマンスのシーンだったのですが、その後の展開も含めてむしろトータルではマイナス評価です。