ジェイソン・ステイサムのシリーズとはまったく別の、イギリス人的なスリラーです。

原題もLevel Upという、全く別なタイトルで、ゲームマニアで他には何といって特徴のない男が巻き込まれる、ある事件のお話。

結構美人の彼女アナと同棲しているのに、仕事には身が入らず、ゲームばっかりしている男の家に、ある朝覆面のグループが。気絶させられて、その間に怪しいベストを着せられます。そしてポケットに入れられたスマホには不可解な指示が。指示に従わないとアナを殺すと。どうもこちらの様子はばっちりモニターされているみたいで、誰にも言うな、荷物を破壊するなと。

ただ、その荷物を運べばいいだけかと思ったら、途中に邪魔が入ったり、次のミッションで人を殺せとかエスカレート。

最後は自分の正気を疑いかけるまでいくのだけど、結局真相に気づいて、大事な彼女のところに一目散に駆けてゆく。途中までの迷いに満ちた走りとは明らかに違う、一心不乱の全力疾走に、物語全体のカタルシスがかかっているような感じです。

実際のところ、これだけの用意周到な仕込みをするのは大変すぎて、リアリティーはないんですが、それでも、ゲームのようにミッションを達成してゆこうとすることに「レベルアップ」があるのだ、と盲信するゲーマーたちへの皮肉にもなっていて、あんたたちがやっているのは、結局現実の問題を解決するためには全然役に立たないんだよ、と告げているかのようです。

音の作り方がとても上手で、サイコスリラーとしてはよくできていると思いますよ。アクションがイマイチ説得力ないとかはありますが。