忠臣蔵のおおまかな設定を伝えて、それを西洋人から見た異国情緒で飾るとこうなる、という好例ですね。日本人が作ったらこんなに面白くはならないでしょう。

しかしながら、大筋では日本人の忠義とか藩おとりつぶしとか、基本情報は誠実に伝えようとしているのが面白い。

参勤交代とか、刃傷事件が起きたのが江戸だった、というのが理解しづらいであろうこと、裁判を行うのに当事者が対峙しないという奇妙な風習は直感的理解を妨げる、あるいは女性に関するタブーをリアルにやると感情に訴えかけるシーンがまった作れなくなる、などの点は現実的に考慮しての翻案と見るべきでしょうね。

大石蔵之助が1年間、穴蔵に放り込まれていたとか、けっこう大雑把な扱いで笑いました。あと、天狗に育てられた魁(カイ)、能力の本当のすごさは見せきれなかったな、というのと、絶対に二刀流で戦う伏線だよな、というのがあっさり裏切られたのと、序盤で魁を負かした巨人の覆面武士が最終決戦でなく途中であっさり爆死してしまい、顔すら見えなかったこと、最終決戦がドラゴンになっちゃったのはちょっと残念ですかね。

日本の地形や風土を知らない人は、村や城のチマチマした感じがわからないんでしょうね。山もずいぶんダイナミックだったり、明らかに中国の山、という感じの風景も混じってました。儀式の女官の髪形なんかも平安朝ぐらいにもどったらわかりませんけど、ラストエンペラーにむしろ近かったような。

ストーリー的には、江戸時代の「ロビン・フッド」に「ウィロー」の黒魔術世界を織りまぜた、というとだいたい感じが伝わりますかね。