劇場で予告編を見て「いくらなんでもこれはない!」と思って劇場公開のときには行かなかったのですが、他の映画のDVDをレンタルして見たときに予告編をもう一度見たときに「レンタルなら見てもいいか」と思いなおしてレンタルで見ました。

人類が絶滅して、その生き残りが列車の中だけに住んでいて、列車の前から後ろまでの序列があって、生存競争で、で後ろの住人たちが革命を起こして前の車両に攻めていくお話。

この荒唐無稽のバカバカしさをまさに地でいくところがこの映画の意味というか。変にリアリティーを追求したところでしょうがない。あり得ないものをどれだけ映像化してもごまかせないところはある。そこをどうするか。「説明しない」という究極奥義を持ち出すわけです。

で、ティルダ・スウィントンのような芸達者をすごいチンケな悪役として出したり、ラストの大ボスが出てくるか、と思ったらいつものエド・ハリスだったりするわけで。「キャプテン・アメリカ」のクリス・エバンスがけっこうダーティーな主人公だったり、その後ろ楯となる老人がジョン・ハートとか、鍵になるキャラクターは押さえてますが、あとは。

列車の後ろから前に行くと車両一両一両がぜんぜん別な世界を形作っている、でも人類が生存していくのに必要な資源がそこで調達できてるっておかしい、というのはたぶん小学生でも気づくわけで。前半に連れられて行ったこどもたちが何をしているかというと、「ええっ」と思うようなオチが待っています。

まあ、絵柄としてはかの迷作「ポーラー・エクスプレス」に匹敵しますかね。そして同じように忘れ去られる運命にあると思います。

ラスト、大人がほぼ全員死に絶えたような白銀の世界に少女と少年二人だけが降り立ち、でもそこには生命の息吹が、と言ってもシロクマ一頭。でもけっこう丸々と太っているから、いろんな餌が取れる、ということですかね。生態系、たくましい…。