※壮大にネタバレしていますので、知りたくない人は読まないでください!
いろんな事前情報や不安情報があって、不本意な形でネタバレされるのがいやで、深夜の上映時間にむりやりねじ込んで行きました。
結果的には、終わらせ方は辻褄が合っていた、とも言えるでしょうね。
フォースの強いものができること、できないことの境界がだんだんあいまいになって、一種の魔法と変わらなくなってきた感じはしましたが。
またオープニングでロールテロップが流れ、暗黒皇帝パルパティーン生存の噂が、みないなことと、カイロ・レンがファースト・オーダーを率いて攻勢をかけ、共和国の命運は、みたいな設定。こういうところ、適度に省略して始めるのがこのシリーズの強み。
で、相手を攻略する手がかりがあるんだけどどうやって手に入れるんだっけ、とみんなで右往左往する話です。
ちょっと最初の三部作でも見た、序盤の局地戦から情報探索、みたいなところとエピソード4&6の敵の本拠地撃破、の要素を絡め、そこにカイロ・レン(ベン)とレイの霊的交信、レイの出生の秘密に触れて、エピソード6との相似形をなすクライマックスを再び築く、ということでしょうか。ルーカスワールドへのオマージュに満ちた、JJエイブラムスなりの決着だったのでしょうね。
設定で少し雑だな、と思ったのは皇帝の復活の手順やそれを指示している者たちに全く顔や個性が感じられないこと。カイロ・レンが留守にしている時のファースト・オーダーの体制がグダグダすぎること。カイロ・レンはどこにいてもレイと交信できるのに「どこにいるの」なんて聞くシーンがいくつかあって、この辺はもう少し丁寧にやって欲しかったです。
最終的にレイが皇帝を倒すことが悪に染まってダークサイドに落ちることだ、と皇帝が宣言して即位の儀式をいちいち段取りを説明したりするところ。どんな形で倒したって、レイが倒したことには変わりないわけで、このへん、プラズマをはじき返して倒そうが、剣で切って倒そうが、倒すことに変わりはないわけで。
似たことはエピソード6にもありましたけどね。ルークが剣を収めて「あなたとは戦わない」と言っても、ダースベイダーが炉心に投げ込んだから皇帝は死んだわけで、結局は「誰が手を汚すか」だけの違いなのではないかと。
そして皇帝との戦いで命を落としたレイを、ベンに戻ったカイロ・レンがレイのようなフォースの使い方で復活させ、だが自分は命を落とすと。まあ、いまさら共和国にベンが戻ったところで、レイアとハン・ソロを死なせた罪人がどの面さげて、という感じになるのは目に見えたし、それが彼なりの贖罪だったのでしょう。レイはベンとキスしてましたが、ちょっと「え、そういう恋愛ものだったの?」とちょっと唐突感はありました。いや、ルークとレイアだってキスしましたが。あの時点では兄妹とは知りませんでしたが。
レイアが思いの外ふんだんに出演してました。レイのフォースの訓練を見る、という意味ではかつてのヨーダでもあり。一瞬、ルークとレイアがフォースの修行をともにしていて、マスクを脱ぐ瞬間があるのですが、この時の顔は少し過剰に若返らせてあって、エピソード4の顔になってましたが、時期的にはエピソード6以降に見せないと変ですよね。
あと、驚きのハリソン・フォード出演が一つのターニングポイントになってました。彼もフォースの使い手?というよりはこれはベンの強いフォースが作り出した幻影という位置づけなんでしょうか。不思議なのは、エンドクレジットに一切ハリソン・フォードへの言及がないこと。自分が見逃したのかと思っていたら、やはり他の人もなかったと言っているので、誰かがフォースで消したか、素材を使い回しての合成なのか。
演技的に不満だったのは、意外にもチューバッカ。惜しくもなくなったピーター・メイヒューとは比べるべくもありませんが、今回砂漠に降りてレイを呼びに行くシーンや、レイアの死を知るシーンなど、いくつかで、「ヒト」になりすぎて受け入れられないシーンがありました。ふだん上半身とか、狭いところで動いてばかりで目立たないのですが、年齢的にも歳をとった往年の戦士、という感じが薄れてしまって残念でした。
でも、多勢に無勢でもうダメか、と思ったときに「普通の人たち」がやってくるところなど、エピソード1~3でルーカスが描こうとした、庶民の力、というテーマも匂わせたり、エピソード8の脱線を極力修正しようとしたエイブラムスの努力は、十分に実ったと思うのです。
思いの外笑えるシーンもたくさんあったと思います。ベンがレイから念力でライトセイバーを受け取ったあとの仕草とか、気に入りました。
ラストでタトウィーンの砂漠でまたジャワ族が古物売買していて、オーウェンおじさんの農場も昔通りにあって、そこにレイがルークとレイアのライトセイバーを埋めにくるあたり、ああ本当に終わりなんだな、と初めて見たときの気持ちを思い出しました。二つの太陽に重なる、ルークとレイア。もしかしたら、そこにはベンもいたのかも…。そう思うと、ベン(カイロ・レン)とベン(オビワン)・ケノービ、と二人の「ベン」がこの物語にはいたことになることに気づきました。