トニー・スコットの最後の監督作品だったのですね。
デンゼル・ワシントンって、知的な役と、荒くれ者、どっちのタイプでもアクションをしっかりできる人ですごいなぁ、と思います。トニー・スコット監督との相性のよさはそういうところにあったのかもしれません。
実際に起きた列車の暴走事件に題材を得て、なんてことないヒューマンエラーをきっかけに起きる大災害の危機、それに対して知恵を振り絞って対抗する人たち、自分のミスを棚上げして権力に頼ろうとする会社、傍目でショー化するマスコミなど、いろんな視点からアプローチしています。
主人公二人のベテランと若手の対比、それぞれに家族との距離感、会社で給料の高いベテランが冷たく窓際においやられ、登用される若者には反発があるなど、今どきの世相や家族像など、社会の切り取り方も示唆に富んでいて、過不足なく見られたと思います。
もともとの題材が実在の事件、ということもあり、ものすごい派手なアクションもなく、あり得ないような悪者とかは出てませんが、それでも最後までどきどきさせられたからいいんじゃないでしょうか。
以下ネタバレ。
いろんな職を転々とした末に車掌になったウィル。妻とのけんかがきっかけで、保護観察期間で家族との接触ができない状況。新しく組むことになったのがベテラン、フランク・バーンズ。気難しい職人肌だが、腕は一流、後でわかるけれども会社から早期退職を言い渡されていた。彼らのこの日の仕事はなんてことないものになるはずだった。けど。
別の操車場で貨物列車を動かすときに、ブレーキがちゃんとつながっていないままに発車させ、しかも切り替えポイントが合ってないことに気づいた運転士が車両を降りて切り換えようとしたことで、電車においていかれてしまい、無人のまま列車が暴走。貨物に可燃性の劇物があったことから大事に。操車場長のコニーは市街地に入る前に脱線させることを提案するが損害をきらった会社上層部は却下。しかしお偉いさんの作戦はことごとく失敗。このままだとスタントンの急カーブで脱線、大災害になることは確実。
この列車を一度は支線でやり過ごしたウィルとフランクの機関車。列車の連結器があったことから機関車を逆走させ、連結してからブレーキをかけてスピードを落とす、という提案を。会社幹部は反対するがコニーと一緒に強行を決断。
そのあとは、テレビの報道でそれを知った家族のドキドキとかで盛り上げて、最初この人はなんのために登場したんだろうと思っていた、車で並走する溶接工のネッドが、ラストで意外な大活躍を見せて終わるという。
現場でのお祝いにコニーも駆けつけて大団円。