デンマークでヒットしているシリーズ「特捜部Q」の映像化第二弾。キジは出てこなかったんですが。基本は前作の二人組に新しく秘書役のロゼが加わって、でも相変わらずカールの暴走にはついていけなくて、途中で辞めたいと口走ったり。

特捜部Qも社会的には認知されてきて、本部長も表彰されてまんざらでもないけど、現場の刑事たちからは揶揄される存在。帰宅途中のカールに、事件を調べてくれ、と直接懇願してきた人がいて、それをスルーした直後に自殺。20年前の双子レイプ殺人事件。

それを調べていくと、どうも寄宿制の高校が舞台で起きたある事件がきっかけになっているらしい。当時の容疑者はわずか3年で出所。なにかがある。

そのあとは、20年前の高校の風景のフラッシュバックで、殺人を通報したキルステン(キミー)の恋と麻薬と暴力の日々と現在のホームレスとして町をさまよう姿。学校の同級生には後に経済界の大物となるいいところの御曹司ディトリウとウルレク、彼らが弁護士の力で事件をもみ消していたのだった。

そのうちにキミーを付け狙う、ディトリウに雇われた殺し屋が現れ、それがディトリウの浮気相手も脅したりしたところから少しずつ尻尾が見え隠れ。

キミーも身を隠していたつもりが親友を殺され、反撃のために殺し屋のところに押しかけ、高層マンションから突き落とすことに。そしてディトリウを殺しに向かうけれども引き金を引けずに警察に拘留される。

カールとアサドはキミーの情報を元にウルレクの持っている物証を探して家に侵入。それを知ったウルレクは二人を拘束。事故死に見せかける工作をディトリウと企む。一方キミーはカールの計画が失敗したらしいことを知り、独力で刑務所を脱走、二人を救出し、ディトリウを追い詰める…。

基本は前作と同じで、人間の業の深さを思い知らされるというか、主にキミーの救われない人生、というところに焦点を当てていました。継母との生活は我慢できずに家を飛び出し、ディトリウに出会う。放縦な恋とともに暴力で発散する日々、でもいいことは続かず、散々な目にあわされて、子どもも流産させられ、殺されかけても、結局ディトリウへの愛は消えなかった。自分だけ生き残って仕方がない、自分は一方的な被害者でもない、罪も引き受けなければ、という諦念がしみじみ伝わってきました。ラストで檻の中の動物たちはどうなったのか、気になってしかたがないです。

若き日のキミーがウィノナ・ライダーそっくりなんですけど。ちょっと育ちの悪さとかはあって、衝動的な面とかもうまく出していたかなと思います。ホームレスで不摂生していたのに、後半のアクションとか、急に変装したりして、活躍が現実離れしている感じは少しありました。事件の構図は、いろんなものを見た立場からだと筋が早めに割れてしまって、どうやってオトシマエをつけるか、ぐらいしか興味が引っ張れなかったかな。キミーの心理描写に力が入ったおかげで、当初の双子の殺人事件がどうでもいい話のように思えてきたのは惜しかったような。

前作に比べるとアサドの暗さが気になるんですが。カールが相変わらずなんで、少しバランスをとるためにはフォローがほしいような気がしてきました。寝たきりになった元相棒、登場しませんでした。残念。