「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」のハルストレム監督だからといって、ハートウォーミングとは限らないわけですが、サイコ・キラーを扱っていても、最終的には家族の心のつながりを細やかに描く辺りは、やはりこだわりなんだろうな、と思った一本です。
まず冒頭に陰惨な犯罪が。学校の体育館で男性教師が惨殺され、その家族も重症のただ一人を残して、皆殺しに。しかも犯人の痕跡は一切残らない。一体だれがこんなことを?というわけで国家警察の捜査官が地元警察に遠慮しながら捜査する。その過程で唯一の目撃者である、生き残りのヨセフに催眠療法を施して手がかりを得ようとします。催眠療法の研究家のエリックは過去にそれで失敗して権威が失墜した経緯があり、不眠症にも悩まされ、2年前の浮気が原因で妻とも不仲、という悩み多き中年医師。
しかしそこから妨害が。エリックの息子が攫われ「催眠を使うな」という脅迫が。二つの事件はつながっているようにも思われるけれど、解決の近道である催眠術を使わずにどうやって解決できるというのか…。というジレンマ。
まあ、捜査の手順とかはちょっと生ぬるかったり、もっと明らかな手がかりがあるのに、なんでもたもたしてるんだろう、なんて思ったりしますが。それからエリックの奥さんシモーヌのヒステリックぶりがちょっと過剰に思えて前半ちょっと引いちゃった部分もあります。
後半の夫妻の和解が描かれることで前半のフラストレーションは解消されて、案外いい話だったかも、と思いはするのですが、犯人のプロファイル含めてそれでいいのか、警察ちょっと油断しすぎじゃねぇの、と思ったりする部分はあります。