タイトルの「チャンス!」は全然中身を反映していない、ひどいネーミングですが、中身はまあまあです。
子どもを抱えながらカジノで借金をこしらえて悩むジムに悪友が朝の魚市を襲えば簡単に金が手に入る、とそそのかし、それがきっかけでカジノのボスのカバンをひょんなことから入手。逃げる途中で立てこもったのがアメリカから逃げてきて身を潜めているジョーの働く骨董屋。
警察にも取り囲まれるなか、立てこもったジムとジョーに意外なつながりが見つかり、そして予想外のお荷物がたくさん加わり…。といったちょっとしたドタバタの中で、最終的にお互いを思いやり町のギャングを一掃し、平和に事件を解決しようとする人々(店の中も、外も)をコミカルに描いています。
警察とSASの関係、宗教でも分断された家庭の姿、いまも家に残るIRA紛争時代の傷跡、移民受け入れを巡る分断など、今日的な問題を扱いつつ、貧しさを抜け出せずにもがき、ともすれば犯罪に身を落としがちな若者の姿をジムを通じて描いているように思えます。
ちょっと、ジムの若さ故の振る舞いの愚かさや犯罪に手を染めるまでの安直さ、ジョーの事件に対する態度や、いったん事情が展開してからの反応の鈍さなどにイライラする部分がなくもないのですが、最終的にはめでたしめでたしで終わってよかったですね、みたいな感想です。最後骨董屋は完全に破壊されてしまったので、従兄弟の店主は補償してもらえたのかな、と心配ですが。