リーアム・ニーソンの元刑事ものって、「トレイン・ミッション」とか、何本見ただろう、みたいな感覚があって、特に誘拐ものだと「96時間」の3本があるので、もう何が来てもおどろかないというか。
1991年にアル中の警官だったマット。8年後には私立探偵としてほそぼそと仕事をしつつ、アル中からの更生の会に通いつづけていると。そこにアル中仲間のピーターの兄ケニーから助けてほしいと相談が。聞いてみると、ケニーの妻が誘拐され、身代金を払ったのに妻は殺されて切り刻まれて帰って来たと。犯人を探してほしいと。
そこからの調査が、的を得ているのか、いないのか。麻薬の売人絡みの犯罪のようでもあるし、死体が捨てられた公園に手がかりがあるようでもあり、という。犯人像も、割に途中からただのサイコパス、と絞られて顔もばれてくるし、何をカタルシスに見たらいいのかな、と思えてしまいます。
途中で新しい14歳の娘の誘拐が発生したことで、事態はハッキリ動くのですが、そこで身代金の交渉とか、初めてマットが主導権を握ってセオリー通りにやり始めて、多少緊迫感のやりとりはありますけど、意表をつかれるような展開はなし。
最後に犯人を追い詰めるけど、半ば自滅だし、助手的に手伝う少年TJはほとんど意味のないからみ方だし、元々の依頼主ケニーも弟ピーターもバカな死に方をするし、最後の方になって、禁酒会の心得の朗読とのカットバックとかがあるのだけど意味合いが全然シンクロしないし、すごく巧みになにかをやろうとした割には、どれもピンとこなかったです。
そもそも刑事を辞めた理由もそんなに後まで引っ張るほどの驚きではないです。映像的には冒頭などはいかにも思わせぶりにエロい映像をつないでいましたが、それが結果的には内容を象徴していないかなと。
マットという男の内面や、悩みや、矛盾がどこかで露呈したり、破綻したり、解決したり、ということが今回の事件で一切起きていないことが、全体がバラバラに見える一番の原因ですかね。最後にTJの寝姿を見たからってそれがなんなんでしょうかね。それがないなら、見事にからんだミステリーの謎を解きあかしてほしい、というのが希望なのですが。
最後にさらわれる娘の父親役で、セバスチャン・ロッシェという役者さんが出てますが、「ザ・ウォンテッド 裏切りのスパイ」「24」「フリンジ」など、いろいろ出ています。「ジェネラル・ホスピタル」はずっとレギュラーだったようです。