1作目のキャプテン・アメリカが時代がかっていた分、損していて「アベンジャーズ」では他のヒーローに対して愚直で不器用なところが強調されていたので、この作品でやっと、本来の彼の魅力が発揮できるようになってきたんじゃないかと思います。
現代に溶け込む努力をさらに続けているキャプテン。仕事上の相棒は主にナターシャ。しかし常に裏があったり疑問を抱くような任務が増え、モチベーションが維持できなくなってきます。同時にシールドのトップ、ニック・フューリーも、入手した機密データにアクセスしようとしたとたんに誰かに命を狙われます。やっとのことでキャプテンのアパートにたどり着くけど、そこでも狙撃。まさかの死亡。えっ、と思ってしまいました。
そして、キャプテン・アメリカとも互角以上に渡り合う強敵の登場。正体はいったい誰?シールドの中でもキャプテンは襲撃され、お尋ね者に。ピアース(ロバート・レッドフォード)が実質のボスになり、アベンジャーズのメンバーは追われる立場に。
襲撃を逃れるうち、マリア・ヒルとも合流し、まさかの長官生存を知ります。強敵のマスクがとれて、前作「キャプテン・アメリカ」で死に別れたはずの幼なじみバッキーだとわかったり、いろいろと密度の濃いドラマが進んでいきます。
封印されたデータを作った場所に向かうとそこは昔キャプテンが新兵トレーニングを受けた場所。そこの地下に巨大なコンピューターがあり、ナチスの研究者ゾラ博士がAIとして生き延びていた。そしてシールドと表裏一体の形で陰謀を企むハイドラの残党が力を蓄えていたことを知ります。
巨大な空母が空中に立ち上がって、犯罪者予備軍を、犯罪を行う前に狙撃できるというシステムが準備されている、というのもすごい話で。犯罪を予防できるからといって、事前に予備軍を殺戮していいのか、という警察国家の問題に踏み込んでいきます。
最終的には、それじゃダメだ、シールドもこのままではダメだからぶっ潰そう、となるところが潔い正義感。それでこそ、キャプテン・アメリカ、という感じがして、今まで国家のために、という小さい正義のために働いていた主人公が、自分なりの大きな正義に目覚めるのがメインテーマだったんですね。
その過程で、敵に改造され、洗脳されていたウィンター・ソルジャーことバッキーともあえて戦わず、命を救い、救われる、という展開があって、これは「人造人間キカイダー」で見たハカイダーとの相剋にも似た胸熱展開が今後期待できるんじゃないかと思います。
今回、「アベンジャーズ」でもなかったペギーとの再会シーンがあったのはうれしかったですね。あとは、アパートの隣室でスティーブを見守るエージェント役にエミリー・ヴァンキャンプが出ていて、彼女はテレビシリーズの「レジデント」でも研修医を演じています。数年の差ですが少しふっくらして見えますね。あと、ハイドラ側の生身の人間ではいちばんしつこくスティーブを追ってくるラムロウにフランク・グリロ、彼は「プリズン・ブレイク」でリンカン無罪の証拠を探すのを途中まで手伝ってくれる弁護士ニック・サブリン役で、少しやわな印象だったのですが、ここではだいぶタフなアクションを疲労しています。あと、世界の幹部の一人でアラン・デイルという人が出ているのですが、テレビシリーズの「NCIS」でも「HOMELAND」でも幹部級を演じていて、もうみんな同じ役に見えます。
もちろん、アクションを各人がすごく高いレベルでこなして、「キャプテン・アメリカ」のカラーがうまく出ているし、いろんな要素がバランスよく、テンポよくミックスされて、各キャラクターが自分の立ち位置を確認したり深めていったりして、いい加減に行動する人が誰もいない、という目配りがちゃんとした作品だと思いました。
