
ストーリーとしては単純で、小柄な虚弱体質の少年が第二次大戦に志願しては落第していたのが、科学者の目に止まって、実験の結果驚異的な筋力を手に入れて、戦線に赴く、という話。
敵がナチスというより、神話世界の研究からスーパーパワーを手に入れることにとりつかれたシュミットになり、最後はそのシュミットの最終兵器(「未来少年コナン」のギガントに似ていないとはいわせない)を止めるべく最後の戦いに赴く、その結果最後は消息不明になり…。
原題のワーキングタイトルがFrostbite(凍傷)なのは、どういうことかな、と見る前は思っていたのですが、なるほどな、と納得しました。
体質が変わってから、なぜ即座に戦力としてカウントされずに国債の広告でどさ回りさせられたのか、いま一つよくわからなかったのと、フィリップス大佐のキャプテン・アメリカに対する態度がちょっと定まらない感じにはちょっともやもやしました。ヨーロッパに派遣されるアメリカ兵士のリアリティーというものがあんまり伝わってこなかったように思います。アメリカの若者にとっては、今のリアルとどう重なるんでしょうね。
キャプテン・アメリカの戦い方の、盾を使うだけであとは体力勝負、という古さ、あれでどうして連戦連勝なのだろうか、というのはもう少し説得力がほしかった気がします。まあ戦闘シーンはよくできていましたけど。
敵の基地が順調に潰せすぎて少し起伏がなかったですかね。敵といってもただシュミットとドクター・ゾラがいるだけですから。ドクター・ゾラがつかまったあとの尋問シーンも大して情報がなくて勿体なかったですね。
あとは、キャプテン・アメリカだからしょうがないですが、アメリカばっかりがそんなに正義か、ということですよね。現代でそれがやりにくいから、第二次大戦という時系列が選ばれたのかもしれませんが、それでも盲目的に国のためにならいくらでも戦う、ナチスを殺したいから戦場に行く、というメンタリティーが無邪気に提示されるのにはちょっと抵抗感がありました。
話の舞台のほとんどが第二次大戦の最中、ということで、これが他のマーヴェルのシリーズとどうつながるのか、が味噌ですね。
オチの部分で、デートに遅れた、と言ってるなら、ペギーのその後も少し知りたくなるのですが、そこはすっぱり落ちてしまいましたね。「フォーエバー・ヤング」みたいな展開も考えられたと思うのですが。もっとも、ペギー・カーターにはその後のスピンオフで「エージェント・カーター」があって、結構長く続いたようです。
シュミット役に、「マトリックス」のエージェント・スミスで名を挙げたヒューゴ・ウィーヴィング、他にトミー・リー・ジョーンズとかトビー・ジョーンズとか味な俳優たちが起用されていましたが、特に意外性をもって輝いた人はいなかったように思います。恋仲になるペギー・カーター役ヘイリー・アトウェルはこの時代の古さをよく表す眉毛美人。見ながら、どこかで見た顔だなぁ、と思っていたのですが、誰に似ているのかは思い出せず。「9-1-1」でチムニー役のケネス・チョイが107部隊のメンバーとして活躍しています。