
前作の「ナイト・ウォッチ」がいまいちだと思ったのですが、前提条件が出揃って、各キャラクターのモチベーションがハッキリしていることから、ずいぶん見やすく、テンポよく、そして時には軽快に密度の濃い話が展開されたと思います。
前作の呪われた少女スヴェトラーナが今では見習いとしてナイトウォッチの仲間になった世界。アントンは彼の教官として日々のパトロール。そこに息子のイゴールが通り掛かり、という波瀾含みの話に、闇の世界のボスの片腕ガリーナが惨殺され、アントンに疑いがかけられることに。
アントンは今回も格闘技とかは得意ではないのですが、まあこの世界での先輩として、少し経験を積んだ、という形。いつのまにか見習いのスヴェータとは相思相愛に。でもいま一つ踏み切れないという中途半端なところ。そこに前回フクロウから人間に戻ったオルガなどが絡み、アントンとオルガが体を入れ換えたことでのラブコメ要素も加わり、ずいぶん笑いの演出が加わりました。
特にスヴェータとオルガ(中身はアントン)のシーンは女性二人がとても綺麗に撮れているのが前作からの大幅な進歩だと思います。
ドライブのシーンとかちょっとした映像の演出が過剰で普段見ないような映像なのでそこも見どころですね。あと、やはり土臭いロシア、というよりは、フランスのおしゃれからヨーロッパの香りを吸収したロシア、という側面がより強く出たと思います。
息子から見た、父親の恋人へのジェラシー、隣人のヴァンパイアの父親と反抗期を迎えた息子との愛憎関係など、キーになるのは家族関係なのかな、と。
後半に向けてどんどん悲劇的な色彩が強くなり、光の側のチームの統率も取れてなくて心が痛い方向に向かって行ったので心配しましたが、まさかのエンディング。これでどう続きを作るんだろうと思ってしまいました。