
スリラーとしては、ちょっと不可解というか、まじめに謎解きをしたくならない物語です。
オーストリアで暮らす移民女性エズゲ。タクシー運転手をしながら、格闘技のジムにも通っている。腕っぷしは強いけど暴力的で抑えの効かない性格。そして親戚がたくさんいて、実家とは折り合いが悪い、といろいろと難しい条件が揃っています。
ある晩、家に帰ると向かいのアパートの殺人を目撃。それから従姉妹が誤認で殺されたり、タクシーもつけ回されたりして命を狙われる。
従姉妹の夫や、元愛人のボクシングジムのコーチの家、そして実家を転々とするけれど、どことも折り合いが悪く、従姉妹の子どもと一緒に街をさまよううちに、よりによって刑事の家に転がり込む。
そこで認知症を患った刑事の父親との交流があったり、コーランを読んでいるうちに殺人犯のヒントを得たりして、殺人犯を追い詰めたりしていくのだけど、逆に刑事の家も携帯から突き止められて大ピンチになったり、逆襲したり、最後は車ごと犯人を爆死させて終わりという。
主人公がしゃべるべきときにしゃべっていればもっと簡単に解決する事件なのに、と見ながら思ってしまうのがとても残念。移民ゆえにしゃべれないことがある、というのとはちょっと違う現象に見えて、個々の役者は頑張って演技しているし、舞台設定も味わいがあるのに、ストーリーとしてみるとバラバラな印象。
一番よかったのは、従姉妹の娘が常にゴキゲンでかわいいことでしょうか。