
人質レスキューのチームから麻薬撲滅チームに抜擢された女性FBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)の経験を中心にして、麻薬戦争の容赦なさを描く映画です。
ストーリーは少しずつ中で予告されたことが淡々と実現していくだけ、と言うと言いすぎかもしれませんが、割にわかりやすいです。ただ、その筋の運び方とか音の使い方などでのサスペンスの盛り上げ方がうまいのと、役者の間合い、呼吸が緊張感にあふれているので、その読めてしまう筋をドキドキ見せられてしまう、という。
古谷一行に似たベニチオ・デル・トロが正体不明の案内役になっていて、彼の真の目的が明らかになるまでが唯一の謎といえば謎ですかね。現代のSicario(殺し屋)を説明してしまうと、最初から主人公は彼だった、というのが見えてきて、ケイトは道化役にすぎないとわかるのですが。
ある程度、こういうハードボイルドな麻薬捜査ものに慣れていると、いつまでもケイトとその相棒レジーの青臭さ、杓子定規ぶりが鼻についてきてしまって、「いいから邪魔するなよ」と言いたくなる感じはありますね。しかも途中でまんまと相手の偵察役の術中にはまってセックスしかける、とか鈍いにしても限度というものがあるでしょうとか。自分が置かれている状況への適応が遅かったり、状況判断の鈍さがいつまでも続くので、そもそもなんでこんなのがスカウトされたんだろう、とイライラが募ってしまいました。
監督がドゥニ・ヴィルヌーヴで、なんか音楽に聞き覚えあるな、と思ったら「ブレードランナー2049」にとてもよく似たシンセの低音が使われていました。作曲家はヨハン・ヨハンソンなんですが、実は「ブレードランナー2049」では途中で降板していて、クレジットには入っていないみたいですね。