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1997年を想定して作った1981年の映画なので、まあ、いろいろありますが、ブルーレイで見ると、映像はきれいに見られるのですが、字幕はずいぶん安易なミスや誤訳がたくさんあってちょっと褒められた出来ではないのと、音声のつなぎ目が荒っぽいな、という印象でした。

カート・ラッセル演じるスネーク・プリスキンが元々は有能な軍人だったのに重罪を犯して移送の途中、エアフォース・ワンがハイジャックされて、巨大な刑務所と化したマンハッタン島に墜落。大統領とそのスーツケースの中身を奪還するためにスネークに声がかかる、という筋立て。

ほぼ不可能、と思える無謀なミッションに雑な無線と発信機付きのブレスレットだけでのぞむ、という無理ゲーなわけで、命がかかってるからやらざるを得ない、という気の毒なスネーク。

今のように特撮にもCGにもお金をかけられない状況なので、夜景とかでいろいろごまかしていますが、「マックス・ヘッドルーム」で描いたような荒廃した未来を描くことには成功していますかね。ただ、そこで生活している囚人たちの行動様式にはいま一つ説得力がなかったり、犯罪者集団デュークは黒人とか、ちょっと類型的すぎないかな、と思う部分もあります。

全体としては、「不思議の国のアリス」感を楽しめれば、まあいいのかな、という気になってくる作品です。

大統領救出のくだりとか、デスマッチのくだりとか、アラを探せばいくらでも見つかってしまうのですが、大雑把には大雑把なりの魅力もあり、という感じでしょうか。

カート・ラッセルをはじめとした、いまも現役の若手と、一世代前のベテランキャストを組み合わせた、興味深い共演が見られました。ハリー・ディーン・スタントンがブレイン役で出ていて屈折した天才感をうまく出しています。「大脱走」のドナルド・プレザンスも大統領役をこの荒唐無稽な世界観の中になじむ形で好演しています。コンピューターの声をジェイミー・リー・カーティスがやっていたとは意外でした。

音楽は、ジョン・カーペンター本人が一部作ってるんですね。時代が近いですが「サスペリア2」で聞いたゴブリンのシンセサイザーを思い出しました。