
オーストリア産SF。管理社会を描いた映画です、で済んでしまって、それ以上の興味深い事件やギミックがない、というのはちょっと残念ですかね。
社会としての前提がすでにかなり管理社会に傾斜していて、そこからさらに管理を強めることに反発する主人公のアレクサンダーというのが、そもそもの反発の理由とか、不満の根底にあるのはなにか、とかその辺が曖昧すぎるんですよね。
こどもの方が「最適化」ということに適応していて父親はそこからはみ出したちょっと自堕落な性格。でも証券マンとしては有能という、ここのミスマッチ感。
だから、途中で独自の調査行動をやっても、何がわかったのか、本当の大きな陰謀とはなんなのか、がインパクトを持って伝わってこない。本当にこれ陰謀なんですかね。
奥さんは奥さんで旦那を監察した日記をライフ・ガイダンス社と共有していた、結局家族も信じられないというのが管理社会だ、というならちょっと安直すぎで。奥さんを信じられなくなって家出したあと世話になった女性は、あれだけの登場で何が伝えたかったのか。
最後は最後で、調査員を殴って終わりですか。あの死んだ女性はなんで殺されたのか、など謎すぎ。
面白かったのはディスクの代わりにガラス板が記録メディアになっていることだったり。
アレクサンダー役のフリッツ・カールは、若いころのマストロヤンニを思わせると思ったのですが、他はちょっと印象に残るひといなかったです。