
珍しくYahoo!ムービーのデータベースにはない作品をDVDで借りて見ました。英語タイトルORIGINと付いてますが、英語ウィキペディアもないような作品ですね。スウェーデン語わかりませんが、
BIEFFEKTERNA
がスウェーデン語のタイトルでしょうか。
スウェーデン発のSFホラームービーですね。ジャンルとしては「ラザロ・エフェクト」とかの系統なんですが、もう少し理知的に、日常性の中に埋め込まれた破綻を淡々と描いていく、ある意味青春映画でもあるんでしょうね。
理化学研究室で厳しい教授の元、助成金カットの危機に迫られて日々実験に追われる3人の学生。そのうちのジュリアとエリックはつきあっていて、しかもエリックは病に侵されている。エリックのがんが進行して余命がいくばくもない、とわかった瞬間、ジュリアの中の理性が飛んで、モルモットでさえも結果がハッキリしない新しい療法を試みようと。親友のレペッカも協力して、アパートで危険な治療を試みると。
しばらくすると、エリックの回復はめざましく、超人的な力をつけていくことがわかるのですが、それも束の間、副作用が半端ないことがわかり、アセり始めます。そのうちにエリックとジュリアの関係に妬いたレベッカは自分でも血清を打って体調がおかしくなったり、教授は3人の行動に気づいて問い詰めるが、同時にレベッカに気があったりして、次第に真相に近づいていく。
エリックの副作用を消す薬が作れるかも、という段階になって、ジュリアはそのプロセスでエリックが見せる凶暴性や、ウィルス拡散の危険を恐れて止める側に回るのだけど時すでに遅し…。
最後は教授、エリック、レベッカ3人の死体が、オープニングの幸せな日々と同じ浜辺に横たわり、レベッカにぎりぎりで命を救われたジュリアは自分が最も恐れていたウィルスの保菌者として永遠の命を得て歩きだす、という終末論的なエンディングで終わります。
ジュリア役のエメリア・ハンソンは、英語版ウィキペディアのページもないくらいにスウェーデン国内中心に活動中のようですが、ウィノナ・ライダーとララ・フリン・ボイルを思わせる美しさと同時に意志の強さを感じさせる、いい女優さんだと思いました。女優としてのキャリアは、レベッカ役のサンドラ・レッドラフの方が少し知名度が高いでしょうか。エリック役のリカルド・ビョルクは少しマット・デイモンを思わせる青臭さがあり、調子に乗るところと、死への恐怖でパニックを起こして利己的になるところ、両方をうまく表現していたと思います。