
後半にミイラがあんなに大量に動員されるとは思いませんでした。リュック・ベッソンが料理した「マミー」とも言えるような作品ですが、やはりシニカルなユーモアたっぷりのコメディーに仕上がりますね。
知り合いのエスペランデュー教授が死者復活の秘儀を編み出して博物館の卵から翼竜を復活させたころ、主役のアデルはエジプトに。ミイラを復活させて当時の医術で病床の妹を助けようとしています。ほぼインディー・ジョーンズ的な冒険を経てミイラをフランスに持ち帰ったころ、フランス国内は翼竜事件で大騒ぎ。ミイラを復活させるはずのエスペランデュー教授が逮捕されてしまったことから、脱獄作戦が展開。
翼竜を手なずけて教授の救出に成功したかと思うと、ハンターに撃たれて翼竜が瀕死の重傷、シンクロしていた教授も倒れてしまいます。ぎりぎりのところで復活の秘術が成功、ミイラが生き返るのですが、専門は原子物理学だという、このドタバタ。でも博物館のミイラたちも復活しているはずと、深夜の博物館に侵入。ドタバタの末、妹も生き返ってめでたしめでたし。
アメリカの映画と違って、ミイラが復活してもあんまりリアルな人間にならずにジャコメッティの彫像みたいなキャラクターが皮肉たっぷりのフランス語を流暢にしゃべるのが楽しいです。あと、ギロチンのシーンでは処刑人が容赦なくやられたり、アデルの入浴シーンでは案外てらいもなく裸を見せたり、ハリウッドとは感覚違いますね。
アデルにほれていたはずのズボロフスキーも最後は妹でもいいんじゃん、とか、宿敵役のマチュー・アマルリックが結構地味で存在感なかったり、ラストはタイタニックに乗り込むところで不穏な終わり方をしたりと、いろいろと引っ掛かりどころはたくさんあります。
原作がコミックシリーズだ、ということで、本当はシリーズ化したらいいと思いますが、役者さんたちのスケジュールを揃えて作り続けるのは大変なんでしょうね。