
おとぎ話の王道というか、自然開発が生み出す必然の悲劇というか、わかりやすい物語です。
5歳の時に交通事故で両親を失ったあとにドラゴンに育てられた少年が、ふとしたことから人間に発見されたけれど、ドラゴンとの暮らしに慣れてしまった少年、少年との暮らしになれてしまったドラゴンの二人の選択は?という物語。
森林の伐採とドラゴン狩りとがほぼシンクロしていて、ドラゴンの神話も森林の開発と同時に失われる定め。最初はドラゴンの存在自体もピートの妄想なのかな、と思わせる瞬間があったのですが、それではダイナミックな物語には発展しない。捕まえて見せ物にしようとするデリカシーのない悪者、というのも現れるのはわかりやすすぎるくらいにわかりやすいです。
ただし、その狂気にとりつかれた彼も、いざ家族が危険にさらされると、本当に優先すべきなのがなにか、我に返る、という部分も含めて、カタルシスはありました。
そして、いったん人間社会に戻ってしまったピートには、本当にはもう戻るべき場所は一つしかない。あの日、エリオットの寝ている隙に一人で伐採の現場にさまよい出てしまったこと自体が、ピートのもう後戻りできない成長と、社会への参加を象徴しているのでしょう。
ラストでエリオットにもちゃんと仲間ができている、あるいはエリオットに家族ができている、という出来事にも、エリオットもピートに依存しているだけではいけなかった、自分の社会を持つべきだった、というメッセージを込めているのでしょうかね。