
ピーター・ジャクソンの古典的な物語に比べると、まあ荒っぽいこと荒っぽいこと。
サミュエル・L・ジャクソンを人間側の悪役に仕立ててしまったのが、なんかもったいないというか、単純化しすぎというか。
元々はモナークという未知の存在を探求する組織が政府の援助を得て、ベトナム戦争が終わったばかりの軍の保護を得ながら髑髏島を探検する、という話。ただし、地質学的調査とだけ偽っていって辺り構わずサイズミック爆弾を落とし始めたからたまらない。しかも彼らは地質が中空だというのを知ってやっているというから始末が悪い。
地底からおそろしいトカゲ怪獣がやってきて、それを退治できるのはコングだけなのに、そのコングを敵視するという錯乱ぶり。
まあ、まずコングに出会ったときのヘリコプター戦のまずさからいって、人間て馬鹿だな、と痛感してしまいました。自分たちは空を飛んでるんだし、銃を持ってるんだから、まず距離をとることを考えるはずが、ちょうど飛びつける手頃なところに密集して飛んで、つぎつぎに餌食になるというお粗末さ。
サミュエル・L・ジャクソン演じるパッカード大佐に、ベトナム戦争で中途半端になった軍人の精神の危うさを託したのかもしれませんが、十分に戦えなかった穴埋めを、自分の指揮のまずさで失った部下の弔い合戦にって、インパール作戦並みの狂気です。
最終的には、コングが大トカゲをやっつけてくれてなんとか帰還できる、という話ですが、コングも家族を大トカゲで失って、このままだと絶滅は避けられない。となると、その後あの大トカゲから人類を守ってくれるのは?と絶望的な予測しか立たないのですが。
エピローグを見ると、これはDCやマーベルと同じく、怪獣世界でユニバースを作っていくための第二弾として位置づけているようで、ゴジラともくっつくんでしょうね。最後の方のスクリュー付きの鎖で鎖鎌戦法を編み出したぐらいですから、戦い方はどんどんプロレス化が進みそうです。オールCGよりは着ぐるみの格闘の方が魅力あるのかもしれませんが。
カメラマンのメイソン・ウィーバー役には「フリー・ファイヤー」のブリー・ラーソン。少しアリシア・ヴィカンダーを思わせるアクティブさとナイーブさを匂わせて、演技の幅を見せたと思います。ジョン・グッドマンの役柄は少し嫌らしかったかな。並んで研究者ブルックスを演じたコーリー・ホーキンズ、見覚えあるなぁと思っていたら「24:レガシー」の主役をやった人でした。