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ベン・スティラーが自ら監督した作品。元々の原作小説は「オズの魔法使」のころにヒットした短編だったそうで、それをダニー・ケイ主演の「虹を掴む男」に映画化したこともあったようですが、原作者ジェームズ・サーバーはその映画はあんまり好きではなかったようです。

前の映画を踏襲したのは、出版界を舞台にしている、ということぐらいで、この作品の特徴は舞台を実在の写真雑誌「LIFE」の編集部に設定したこと。しかも紙の媒体としては廃刊になる間際の最終号をめぐっての物語にする、というのがうまいなぁと思いました。もちろん現実にこんな嫌な経営者がいたり、クビ切りの実態があったのかどうかは謎ですが。

ネガを管理する地味な仕事をしているウォルター・ミティには空想癖が。これ、実は自分にもあって、食事しているときとかよくぼーっとしていて同僚にも不思議がられたのですごく共感します。

ただ、彼は雑誌を代表する写真家ショーンの信頼が厚く、最終号の写真に対しても指定が。ところがその写真のネガが見つからない、というところから密かにショーンに連絡をとらなければ、というのが縦軸。他に、写真部のシェリルが気になって仕方がないのだけど、まずSNSでオンラインデートのサイトでアプローチするのだけど、「ウィンク」が送れないところからサイト運営者と電話で会話して、プロフィールが空っぽであることがわかっていきます。実人生ではまったくの引っ込み思案で、旅行すらしたことがなく、プロフィールに書けるようなことがない。このプロフィールをどうやって埋めていくか、みたいなことも進んでいきます。

白昼夢のシーンがシームレスに起きるので、途中で「これは白昼夢?リアル?」と疑問に思い始めたりする箇所もありましたが、案外途中から素直に実体験になっていくんですね。

話の途中で急にシェリルの存在が希薄になっていくところ、個人的には少し残念で、男目線のラブストーリーとしてラストのオチを生かすには仕方ないのかな、と思いつつも、やや都合のいいストーリー、という感じがオチをチープにしたような気がします。

出会い系サイトの運営であんなふうに親身になってくれる人が現実にいるかどうかは全く違う話ですが、ロスで連絡がつく人が一人だけというの笑いました。