
原題が「グリンデルバルドの罪」とあるように、前回つかまった後に逃げ出したジョニー・デップが逆襲を企てるエピソードなので、スター・ウォーズでいうなら「帝国の逆襲」に当たるのかな、というくらいにバッドエンドです。
そもそも、なんでグリンデルバルドをヨーロッパに移送するのにあんなに軽い警備なのか、とか、筋立てありきの大甘設定な印象を受けました。
意外だったのは前回消えたと思われたクリーデンスの物語をまだ引きずるのか、という点。予告編で匂わされたような、またまた新しいいろんな生物が大暴れ、という触れ込みはだいぶ誇大広告に当たると思います。
ニュートとティナの初々しさがだいぶ失われてしまったのが何よりもちょっと残念で、以前よりもニュートの片思い感が強くなったのはそういうファンの要望があったからでしょうか。先にジェイコブとクイニーが先に現れてくどくどと二人の関係性の変化を言葉で説明してしまったことが、ものすごくネタバレ感があってうれしくありません。再会シーンでも二人の心情やぎくしゃく感、すれ違いの描写がもの足りず、この点もマイナスです。
ジェイコブとクイニーの食い違いも、相当に無理やり感があって、そもそも両思いのおバカ同士なんだからそっちに誘導する必要あったのかな、と思う残念さ。
全体としてのプロットは、クリーデンスの出生の秘密をめぐってのお話で、途中で出会うユスフがらみのストーリーはあんまり有効とは言えず、なぜ彼に寄生虫がついたのか、計画性をあまり感じませんでした。
リタとニュートの過去、そしてニュートの兄テセウスとの関係性には興味深いものがあったのですが、ちょっと他の要素が邪魔して掘り下げきれず。
そんな中でのグリンデルバルドの暴れぶりが、やはりトランプ・安倍時代の、恐怖をあおって憎しみと分断を生み出す手法にオーバーラップしてくるのが、何よりも2018年時点の現代性を帯びた映画だな、と思いました。
ラストの一番の派手なバトルが、円陣の魔法でグリンデバルドのパリ侵攻をくい止められるかどうか、みたいな部分になってそこでリタも必要だったのかわからない殉死、最後も封じ込められたのかどうか、でもグリンデバルドもリタもクイニーも最後は逃亡に成功して次への伏線に、という終わり方。
個人的にはクイニーだけはこんな憎悪劇の片棒を担ぐ存在にはなってほしくなかった、と思っていますが、これが原作者の望んだことなんでしょうね。
キャストの中では、後に重要なキャラクターになるナギニ役のクローディア・キム、あまり大きな動きはなかったですが、高感度高かったです。