
グリム童話系ではテリー・ギリアムの「ブラザーズ・グリム」が有名ですが、それに負けないぐらいにパワフルで正統的かつ彩りのある大人向けファンタジーに仕上がっています。
ヘンゼルとグレーテルが大人になったらどうなるのか、という想像力と、彼らが家を追い出された本当の理由は?という点を深めることで、姉弟の絆や魔女世界が全く違う見え方をしてきます。
ジェレミー・レナーがヘンゼル、というのが意外なほどはまっていて、そこに「ブリンス・オブ・ペルシャ」でも大活躍のジェマ・アータートンが色気が強すぎず姉弟感の強い組み合わせでアクションもふんだんに使われているのが強みです。
魔女役にファムケ・ヤンセンというモデルでもある風格のある美女、大部分は顔がわからないような魔女メークですが、迫力のある役所。途中で惨殺される憎たらしい保安官に「コンスタンティン」で死に神を演じたピーター・ストーメアと、ヨーロッパ色の豊かな顔ぶれで、このヨーロッパ由来の物語に説得力を加えています。
村の描写はそう多くはないですが、魔女狩りや権力者に先導されやすい世の中、恐怖につけ込めば人間同士が魔女よりも恐ろしい敵になってしまう、そんな空気感を強く出しているところもポイントが高いです。