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今ではなかなか使わなくなった公衆電話ボックス、という場所に着目したことではなかなかのアイデア勝負だと思います。

ファンタスティック・ビーストではすっかり貫祿がついたコリン・ファレルもこの17年前の時点ではまだブラッド・ピットを意識したような生意気な若者を演じていたのですね。虚勢を張ることで生きているような広告マン。彼が妻に明細でばれないようによく使っていたボックスにかかってきた電話をとったために、事件が起きる、という具合。とはいえ、最初から彼を狙った個人的なテロ攻撃とも言えるわけで、どこから狙われているかわからない恐怖、何をしても筒抜けになってしまう無力感と、妻に隠れて若い女性タレントにうつつを抜かしていることへの罪の意識がないまぜになって、パニックしていく様子をほぼリアルタイムで見せていきます。

主に男性の観点からの描き方なので女性がどう見るか、はよくわからないですが、まあ、日々虚勢を張って生きていた主人公が最後には正直にすべてを告白して、奥さんも許してくれてよかったね、みたいなオチで、でも犯人は最終的にはつかまらなかった、という怖い話です。

一点突破の恐怖心頼みなので、冷静になるといろいろと粗はあるのですが、個人的には、警察が最初にやってきたときに、ボックスに弾痕があるのに気づかないのはどうなんだろう、というのと、ロボットが的になった時、耳を撃たれた時、そして、ケリーとパム、として警部が的になった時の照準の合い方には整合性があるだろうか、と疑問に思えたのと、浮気を告白させることがそんなに大事な狙撃犯って、なんなんだろう、と思ったのが大きいでしょうか。

電話ボックスにわざわざ盗聴器を仕掛けたり、銃を仕込んだりする暇があるのも不思議だし、今回、真犯人がピザ屋でなかったことは、もう警察には伝わるはずなので、他の二件の銃撃事件を合わせたら、犯人がつかまるのは時間の問題のような気がします。

声に特徴あるな、とは思いましたが、あえて猫なで声でしゃべっていたので、最後に顔が出てくるまでキーファー・サザーランドだとは思いませんでした。この10年ほど前の「バニシング」では、恋人をさらわれる被害者の方を演じていたわけで、キャリアを積んで、そういう役回りなんですね。