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主人公の見えづらい物語だと、その分トリックの面白さだけで評価したくなる、そんな映画かなと思います。

全体的には魅力的な筋立てで、豪華なマジック・ショーの陰で、犯罪が行われている、それを暴くためにはどうしたらいいか?というような大ぐくりな設定があって、そこに誰か共感すべき探偵がいるわけです。

今回は、追手であるFBI側の刑事が主役で、そこにインターポールの女性捜査官が加わり、美女だし頭よさそうだしフランス人だし、ということでここに魅力的なタッグが組まれるだろう、というのが予測として成り立つのですが、どうもここからの進展が切れが悪い。

初めは、見る側もどうトリックに引っかからないで真相を見抜くか、と考えて、誰がマジシャン・グループ「フォー・ホースメン」とグルなんだろうか、と疑うわけです。スポンサーだったトレスラーの口座の金が観客にばらまかれたり、今まではマジシャンたちの味方だった人間たちが標的になり始めます。そして、マジックのトリックを見破るのが仕事のサディアスが現れて、こいつが共犯者かな、と思っているとどうも様子がおかしい。そういう意味では観客を裏切るためのお膳立てはうまく整ったと言えるでしょう。

だけど、なぜカタルシスがないのか。これは、全体として何が狙われているのか、犯人の目論見を見通す人間がいないから、「ここで終わり、成功あるいは失敗」と判定できる材料が観客に与えられていない、ということによるんじゃないかと思います。ネタを明かされると、ああ、だからか、と納得がいくわけですが、物語のプロセスで奥歯に物が挟まったようなものの言い方をされている感覚は、見終わっても解消しなかったように思います。

4人が集められてからのし上がるまでのプロセスを1年間飛ばしているわけですが、この準備期間についても、そうとうに用意周到な計画と資金が必要なわけで、それがどのように与えられたのか、そんな資金をどうやって調達したのか、については不透明なままだったのも納得感が得られなかった理由かもしれません。

まあ、それでも、最後のどんでん返しだけでも、報われた、という感じもしますが。牢屋のサディアス、彼が裁判ですべてを明かしたら一発で釈放されるはずですけど。

個人的にはウッディ・ハレルソンの催眠術師ぶりが楽しかったです。脱線の雑談を含めて。