
このところ、「ザ・スクワッド」「EMMA 人工警察官」ときて、フランス映画の警察モノはどこか違うな、と思っていたらここでまた大傑作に出会ってしまいました。
女性がいなかった特殊部隊に女性の新人を放り込む、という筋立てで、社会からぬぐいきれない女性差別のマインドを皮肉る、という脚本も粋ですが、なにより主人公が魅力的。アリス・ポル、ちょっとキャサリン・ウォーターストンに似た、笑顔のまぶしい女優さん。まだ若くて売り出し中なんでしょうが、コメディエンヌとしての間合いや身のこなしが抜群で、憎めない愛嬌といい、不器用さといい、アクションが大してないのに犯罪者と互角に渡り合う大作になってしまいました。
銃を撃たせればなぜか犯人の股間にだけは命中させてしまう、とか、相手の言葉のアクセントの特徴にはすぐ気づくとか、天然だけど素質がある。そしてしごいておけば辞めるだろうとタカをくくっていた上司や先輩も次第にその頑張りや素質を認めていく。反面、コネでエリート部隊にねじ込んだ父や婚約者は彼女の意外な頑張りに次第に焦りを見せる、という皮肉。
途中で連続強盗犯のヴィクトールもからんできて、意外にも本命は大統領の暗殺にある、ということがわかり物語は急展開。まあ、まじめな映画なら組織としての規律とか、推理の粗とかを探すんでしょうが、この映画はそうではなく、楽しまないと損します。
ここしばらく見ていたハリウッド製のスリラーやクライムムービーにちょっと食傷ぎみだったので、これは大満足の一本でした。