
最初は母親の仇をとりたい一心で始めたヴァンパイア・ハンター稼業が、次第に人間性の回復と国家統一という大事業に絡んでいく壮大な話です。
なんとなく見たような気がしていたのですが、改めて見直して、リンカーン自身が永遠の命を選ばずに、理念に生きた人だ、というのが師匠のヘンリーと対照的な生き方なのだな、とかオープニングのシーンとエンディングの現代のシーンが対をなしている、とか、ラストシーンのリンカーンが出かける劇場が、暗殺の現場なのだな、とか考えるとちょっと感慨深いものがありました。
途中の南北戦争の映像化も、当時の武器で戦うとこう見えるのかな、というのがうまくシミュレーションされていて、この技術がキューブリックの存命時にあったら、「ナポレオン」も実現したかも、とか思いました。
ストーリーの中盤で、急にヴァンパイア退治から政治問題に進出するところがかなり唐突で、なんでヴァンパイア側も襲ってこないんだろう、とかなんで奥さんは放っておいてこどもを襲ったのか、とかいろいろと腑に落ちないですが、史実とのリンクを作るための技術的な設定なのかなと思いました。
でも、全体としては面白かったですよ。斧を使ってのアクション、というのはちょっと新しかったですが、殺陣としてはやや明快さに欠けるというか、どういう理屈でどうやっつけたのか、が見えにくかったです。そういう意味でのアクションや敵をやっつけるときの爽快感はもう少しだったかも。