
生活にくたびれた感じとそこから飛び出す意外なマッチョぶり、という二面性が、うまく出せるのがこのリーアム・ニーソンのよさですね。今回は保険会社の営業をクビになったばかりの元警官、といううまい設定でそれが発揮されました。
毎日の通勤電車で、ほとんどが半ば顔見知りの中で、その中の仲間外れを探せ。バッグの中身を探れ、という謎の指令が出て、やがてその指令を実行しないと妻と息子にも危害が及ぶ、とわかる。手付けの金を取ってしまったところから、後戻りのできないミッションが続いていく、という運び。
ずっとこんなに監視されているのはなぜなんだろうか、とか、どうやってすべてを見通しているのか、はちょっと謎なところがあり、あまり主人公マイケルにはっきりした反撃のきっかけがないのが、難点といえば難点ですかね。ここからは主導権を握っても大丈夫だ、と確信を持てる瞬間は本当はなくて、妻と息子は常に危険にさらされているのに、どうしてそこで開き直れるんだろう、という疑問は浮かびました。
電車の中の格闘シーンも、これだけやられたらもう気絶だろうとか、死ぬだろう、と思うレベルを超えて戦いつづける、マシーンのような男ですね。保険屋をやってる場合ではないと思いますが。
ラストで、残った乗客みんなが助け合って「自分がプリンだ」と名乗り出るところはちょっと胸熱ですね。みんな話は聞いて共有しているんだから、その時点で誰が生き残っても犯人からしてみるとアウトなんですが。
ジョアンナの素性が、最後に明かされなかったのは少し謎でした。英語版のウィキペディアには書いてあるかな。
原題は、The Commuter(長距離通勤者)なんですね。