
ずっと見たかったのにチャンスがなくて、しかもあまり話題にならなくてすぐに消えたように扱われた作品でしたが、こうして見ると、見事なSFコメディーに仕上がっていて、スケールこそ小さいですが仕上がりとしては「ゴーストバスターズ」より上かもしれないな、と思います。
発端は隕石の落下、地質学の専門家が調べるうちに、付着していた微生物がものすごいスピードで進化を遂げていることを発見するけど、軍関係者が情報を独占し、拙速な対策をしようとして事態を悪化させる、という、ある意味テッパンな作りです。
民間の科学者アイラとハリーの研究ぶりが、それほど独創的でなかったのがやや物足りない点でしょうか。ここが弱いと軍に研究を横取りされてもその方が一般市民を守るためにはよかったんじゃないか、と思えてしまうので。あとウェイン(ショーン・ウィリアム・スコット)がなぜ研究者二人に絡んでくるのか、というのはやや動機が弱いような気がしました。もともと消防士を目指していただけで大学とも関わりがないし。
しかし事態の悪化する様子や、最後に向けての危機拡大とロマンス要素のふくらみかた、クライマックスのばかばかしさと盛り上げぶりはおみごと。
デヴィッド・ドゥカブニーが田舎の大学の先生、ジュリアン・ムーアが政府関係の研究者、ということで、これでコメディーになるか、というと見事になってしまうというのがミソ。二人とも、会話の間合いやテンポはコメディーにも向いている、ということを証明してみせます。ハリー役のオーランド・ジョーンズが二人の間で実は重要な引っ張り役と同時に接着剤の役割を果たしています。
途中で怪物に食べられるバリー役のグレゴリー・イッツェンは、「24」シリーズでローガン副大統領(後に大統領)を演じていますが、ここでも嫌な奴をみごとに演じています。