
全体を通してみたら、まあ、筋立てとか世界観は面白くて、本の方はシリーズで続いてるんじゃないかと思うんですが、2013年の映画で、その後あんまり騒がれてないところを見ると、やはりこの映画の出来で、次への期待があまり高まらなかった、ということなのかもしれません。
出自を隠された主人公が、親が襲撃されたことをきっかけに自分の能力を自覚して覚醒していく、という流れは、どうしてもハリー・ポッターをなぞる形になってしまい、つらいものがあります。
加えて、母と娘の関係がすごくありがちな反抗期で早く会話すれば済むのをダラダラ遅らせている間にどんどん事態が悪化する。あとから現れた怪しい奴らも時間があるのにちゃんと説明しない。その後の主役クラスの行動が、どう見ても理に適ってなくて、最初から謎を解く気がないだろう、とかいろいろあってどうも盛り上がらない。主役のクラリー役の子がいつまでたってもパニックを起こしてばっかりで全然落ち着かないのも問題です。
あと、戦い方全般、ちょっと原始的。新シリーズだと、戦い方のバリエーションで見る方を巻き込んでほしい、という感覚があるのですが、剣にしても魔法にしても、特に目新しいものはなく、圧倒的な技量もないので、ちょっとどんぐりの背比べのどつき合いが続いて飽きたような気がします。
ジェイスも千年かそこらシャドウハンターをやってきたなら、なんでこんなクラリーみたいな子に惹かれるのか、よくわからない。ある段階をすぎるとシャドウハンターの組織全体が、目先のメリットだけを追っている幼稚な集団にみえてしまい、歴史のある深い哲学が感じられなくなるのも脚本・演出の欠点だったのかな、と思います。ジェイスの偽悪的でクールな感じは悪くないと思ったのに、デレるのがちょっと早すぎますよ。
で、友達のサイモンは少し意味ありげで悪かった視力がよくなったり、ヴァンパイアに噛まれた跡があった割に日の光は大丈夫だし異常行動もないから、続編でなにか暴れさせる予定があったのかな、と思いますが、その後は続編の動きもなく、キャストを全部変えてテレビシリーズになったみたいですね。2016年に始まって、サードシーズンが全22話で放送中のようです。
キャストでは、ホッジ役のジャレッド・ハリスが一番有名でしょうか。「バイオハザードⅡ」や、「シャーロック・ホームズ:シャドウ・ゲーム」「コードネームはU.N.C.L.E.」「マリアンヌ」など、結構知ってる作品に出てます。