
出発点は現代的な「白雪姫」なんですが、結果的には「ウィロー」や「スター・ウォーズ」「ロード・オブ・ザ・リング」の要素がくっきり。つまり、それだけ現代のファンタジーも童話の要素をまとっている、ということでもあるのでしょうね。原題がSnow White and the Huntsmanというぐらいなんで、狩人も相当重要な要素として最初から意識されているんだと思います。
女王ラヴェンナにシャーリーズ・セロンというところで堂々の貫祿ですが、スノーホワイトにクリステン・スチュワートを持ってきたところで、全体のカラーが決まってきたような気もします。幼いころの無垢な印象とは違い、幽閉されて日々が過ぎたあとの白雪姫には、生き延びることへの意志と、でも生き延びたあとにどうしたらいいかという迷いもあり、ただのやさしさで人を癒やす立場ではない。前半の目つきのキツさが少し気になったのですが、それが後半の民衆を奮い立たせる象徴としての新女王像へとつながっていくのでしょう。ほぼジャンヌ・ダルクという感じでした。クリステン・スチュワート、途中からシガニー・ウィーバーにしか見えなくなってきたんですが、アゴのラインに意志の強さが現れていますね。メイキングを見ると、ずいぶん本能的にいろんなことを体当たりで演じる人らしく、これからが楽しみです。
中盤で森の精との交流や、木の精をなだめるところなどに、彼女の持って生まれた資質、ということが現れてきていて、一見ただのキノコやカメに見えたものから、その本質としての精霊が現れるところは、この世界観の中での彼女の神性を象徴しているようで見事だったなと思います。
ストーリー的には、狩人のクリス・ヘムズワースの方が、ウィリアム(サム・クラフリン)よりもおいしいところを持っていって、このあたりの三角関係が続編でどうなるか、を引っ張るんでしょうね。
小人役は、必ずしも小人が演じるのではなく、撮影の工夫で作ったりしていたんですね。ボブ・ホスキンズ、惜しい俳優でした。