
「ザ・バニシング」とそのリメイクの「失踪」を思わせる、居所のわからない失踪人をどう突き止めるか、というスリラー。ただ、リアルタイムの電話があるし、チーム丸ごとで捜索しているので、監視カメラやSNSが発達している現在だと、もっと簡単に犯人が見つかったり特定できたりするんじゃないでしょうか。
9-1-1は、最近フォックスでもテレビシリーズが始まっているくらいなので、それなりにフィクションのテーマとしてはこなれてるんでしょうね。日本でいうと110番と119番が合体したもののようなのか、電話をしてくる人はたいていパニックしているので、それを落ち着かせて必要な情報を聞き出して適切な対応をとらせる、という意味ではスキルの高い仕事だと思います。ケビン・スペイシーの「交渉人」は、犯罪者やテロリストと直接対峙しますが、オペレーターは被害者とのやりとりで情報をつきとめていく、というワンステップ間接的になるので、そこをどう面白くするか、ですね。
車のテールランプをいかに外させるか、とかそこから手を振らせる、というような工夫をよく思いつくな、とか、これが現場に周知されている常套手段なのかな、とか感心したけど少し気になりました。ペンキを垂らさせるのは悪くないけど、ずっと手を振り続けている方が他のドライバーが犯罪性を視認できて、通報につながったのじゃないか、と思ったり。
自分の仕事が終わったらあとは切り離して忘れろ、という職場のボスのアドバイスは無視ですか。自分も研修ではそう教えていたのにね。それで単身で犯人のアジトを探り当てて乗り込んでしまう、というのがいかにもあり得ない展開で、主人公大活躍で終わらせるための非常手段、という感じでした。スマホを落としちゃうところなんかも、拾ったらその場で電話でしょ、普通は。
犯人役のマイケル・エクランドは「バッド・バディ」で悪役をやっていた人ですね。さらわれた女の子役のアビゲイル・ブレスリン、元子役でしょうか。少しキルステン・ダンストに似た、一見不美人風ヒロイン。パニックぶりから落ち着きを取り戻すと肝が据わっていろいろと無茶しだす感じ、「24」のキムっぽいですね。
ラスト、あれでよかったんですかね。最後自力で抜け出したことにしても、つじつま合わせるのが大変だろうな、と思ったり、この犯人、明らかに精神的に病んでいるので、ただ復讐すればいいだろう、という私怨のレベルで終わったのには違和感がありました。