
もともとがゲームだと思わず、アンジェリーナ・ジョリーの映画の世界観だ、というつもりで見てしまうので、ストーリーにはもう少し期待してしまったのですが、それでもアリシア・ヴィカンダーの魅力を堪能できる一作かなと思います。
「ジェイソン・ボーン」と「コードネームはU.N.C.L.E.」でイメージができたので、彼女は少しクラッシーで上流階級っぽいキャラクターが向いてるのかな、と思っていたのですが、今回はイギリス人でも貧乏学生という意表をついた設定で、自転車のシーンからもう、彼女のフィジカルなポテンシャルを感じさせました。体型をララに近づけるためのトレーニングは本当に大変だったろうな、と思います。キャラクターになりきる、という目標のためにはどこまでも自分を追い込める資質があるんでしょうね。
アクションは全部魅力的だったと思いますが、弓矢を射るには少し距離が近いんじゃないかと思えるカットもあったかな。
ストーリー的には、冒頭から卑弥呼の邪馬台国の話だ、とわかっているのに、日本人からしてみると、ちょっと近代すぎるし、中国的すぎる、というのがあって、でも実際は本当はどうなのか、なんてわかりゃしないんですが、でもそこを気にしたのか、英語ではしゃべっているのに字幕からはヒミコや邪馬台国という
要素がずいぶん削られていました。
実際に進行するストーリーはほぼインディ・ジョーンズの世界なんですけどね。次から次へとピンチが訪れて「ウソでしょ」みたいな時には、もう少しユーモアがあるといいな、と思う瞬間はありました。あと、謎解き要素も、もう少し疑似体験ができて一緒に考えられて、しかも答えに納得感があるといいかなと。パズルはルービックキューブの達人のやってるのを見てるだけ、みたいに見えて少し惜しかったです。
ラストの父親の自己犠牲もほぼ予想通りで、ひねりはやや足りなかったかもしれません。人間ドラマとしての親子関係とか個人の成長とかは定番ですが、しっかり見せていたと思います。
キャストでは、お父さんがシーンによって老けすぎて別人に見えたりしてやや混乱したのと、悪役というかラスボスのウォルトン・ゴギンズがちょっと見たような顔ではあるのですが、ちょっと下っぱ感が強くて、残念だったかな、という。