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映像的な象徴性でもうーん、とうならされる部分があるのですが、やはり、人物の造形が深いですね。どの人物にもリアリティーがあって、キャリアは浅くてもそうそうたる顔ぶれの役者たちが、それぞれに考えながら掘り下げていったようすが、メイキングからも見て取れます。

なにか素敵なことが起きて、平凡な日常を変えてくれるのでは、と夢見る少女。日常に疲れてしまった母、平凡な銀行員だけど殺人トリックを考える趣味のある父、本ばかり読んでいるおしゃまな妹、憎たらしい弟。そこにはるばるやってきて、いつまでいるのかわからない居候のおじ。

少女はシャーロットだから、おじさんのチャールズとおそろいのチャーリー、初めは運命かと思ったその近さが、後に仇となるわけです。

後半のロマンスはともかく、弟が去ってしまう、と知ったときの母の涙に、当時の、家庭に入った女性が感じていた閉塞感がとてもよく表現されていて、これはヒッチコックの奥さんの功績でもあるのかな、と思ったりしました。

ロバート・カミングスは、これが珍しい悪役だとか。でも堂々たる演技だと思います。