
一部の表現には時代だな、と思う部分もありますが、心理的にも深みのあるドラマだなと思いました。ヒッチコックには、サスペンス以外にも、映画ごとにこだわった描写のポイントがあるのがさすが、という感じです。
当時のアメリカだから、多少敵国に対する戦意高揚に見える部分もあるのだけど、ここで描かれているのは共産主義やナチス、というような分かりやすい敵ではなく、巧妙に社会に溶け込みながらも、人を憎み、分断することを喜びとするようなカルトの存在。それは現代にもまるまる当てはまるな、と感心しました。
ラストの自由の女神のシーン、ほかに何かの映画で似たシーンを見たような気がしてしかたないのですが、どうも見当たらないので、この映画を昔見た体験なのかな、と思っています。