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いま見たら原題は"i, ROBOT"と、iが小文字になってROBOTは大文字だったんですね。しかも主人公自身も少しロボット入ってます、というネタバレにも見えるという、引っかけもあるニクいタイトルです。公開当時なら少し辛い点をつけたかもしれないのですが、10年以上経っても多少CGがちゃちとはいえ、ちゃんとした作りになっているな、と最近の雑な大作よりはむしろ好感がもてる印象でした。

ロボットが本気になったらもっとスプーナーを瞬殺できたんじゃないか、とか、AIが本気出せばあらゆる行動が監視できて人間側の動きなんかすべてお見通しじゃなかったのか、とかそういう粗はいろいろと見つけられるのですが、殺人事件の謎解きが持続したのと、スプーナーがロボットに対して抱いた不信感、少女を見殺しにするハートのなさを、サニーが解消する、というドラマ的な伏線の回収は見逃せない高ポイントだと思います。

アシモフの原作至上主義の人から見たら、それでも物足りない、とか、そもそもV.I.K.I.の暴走そのものがロボット三原則に欠陥があったことの証明になってしまう、とかあるのですが、りっぱな平和憲法があってもそれを解釈の問題でひっくり返してしまう政府とかが出現する現代においては、むしろいいアイロニーになっているんじゃないか、と思ったりして。

実際のところ、結末がこうなった以上、もう人類にテクノロジーへの絶対的信頼なんていうものは失われてしまったし、パンドラの箱は開けられてしまった。ある意味もう一つの「猿の惑星」なんじゃないか、と思ったりもします。この未来は「ウォーリー」につながってたりして。

キャストではウィル・スミスの他、一瞬オドレイ・トトゥではないかと思ったブリジット・モイナハンの言葉少ない好演。銃を目をつむって撃つところなんかはとてもよかったからもっとコミカルなこともできたんでしょうね。他、なんのために出てきたのかいま一つよく分からないシャイア・ラブーフなど。