
コラテラル、というのは「まきぞえ」とか「まきこまれ」と訳せばいいのですかね。運転手マックスが完全にまきぞえを食ってひどい夜を過ごすことになるわけですが。
スタイリッシュかつ緊張感のある中でストーリーが進行するので、飽きることはなかったです。殺人鬼とタクシー運転手の呉越同舟、というのは珍しいですが、必要に迫られてのミスマッチ感のある道中劇、という意味では「ミッドナイト・ラン」を思わせるものも少しありました。道中で少しずつお互いへの理解を深めながらも、結局は分かり合うところまでは行き着かないもどかしさ。
トム・クルーズ演じるヴィンセントの冷徹な殺し屋としてのバックグラウンドが、やや後半の会話だけで説明されて、マックスに対する微妙な感情移入というのが家族愛への渇望、と見える部分もあるのですが、あまりベタベタするのもどうかと思うし、最後の死に方なんかは、地下鉄での気づかれない死、という前フリのネタをうまく生かしていてよかったんじゃないかな、と。
ジェイミー・フォックス演じるマックスについては、前半の有能だけどちょっとお人好し、リムジン会社を持つと言いながらも実は口だけで本気になれずに12年も過ごしてしまった、という弱さの部分を少しずつあぶり出していくのは面白いなと思いました。それが最後の標的がアニーだと知って、本当の強さを発揮する、という展開。
冒頭でアニーとヴィンセントの交錯するシーンがあり、これは偶然じゃないよな、と思っていたのですが、最後にやっぱりターゲットなのか、と思って、ならなんで最初に殺さなかったのかな、というのは少し謎。ターゲットのリストって、殺す優先度まで指定してたんですかね。
監督のマイケル・マンは、「Heat」の長い銃撃戦も撮った人。アクションの見せ方には手慣れたものがありましたが、クラブでの銃撃戦など、圧倒的に多勢に無勢のところであんなに派手に撃ち合いをしてなぜあの結果か、客がもっと早く騒いでもいいのに、というようなご都合感は少しありましたか。
そう言えば、ジェイソン・ステイサム、アクションができる人なのになんであんなちょい役なんでしょうね。友情出演?