イメージ 1

ユニークな作家が、ユニークな俳優をたくさん起用して自分だけの映画を作った。そのことを喜べばいいのかなと思います。随所に湾岸戦争の断片が挟まり、その時代の空気をどこかで負っているのだな、と感じました。

まあ、ブラック・コメディーだから全部が全部、腑に落ちなくてもいいのだろうとは思いますが。

話全体の広がり方は、ウォルターが途中で介入することでしか新しい局面に入らないので、その点は「ノー・カントリー」や「バーン・アフター・リーディング」などに比べると、少し強引な印象だったかもしれません。

ウォルター役のジョン・グッドマンって、ルックスがいかにものコメディアンだからゆるいコメディーが本業のように思えるのですが、ドリフターズのいかりや長介が名優であったのと同じように、「バートン・フィンク」やこの作品のような狂気を地で演じられる、希有な存在だなと思います。ロバート・デ・ニーロが「ブラジル」とかで変な役に挑戦しているのは、ジョン・グッドマンみたいになりたいからなんだろうな、と思っています。

スティーヴ・ブシェミ、ジュリアン・ムーア、フィリップ・シーモア・ホフマン、ピーター・ストーメア、ジョン・タトゥーロ、みんな大好きな俳優さんが嬉々として変な役を演じているのをみると、うれしくなりますね。