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「アトミック」というほどにはすごくなかった、というのが妥当なところでしょうか。時代設定をベルリンの壁崩壊に合わせたのでその時代ならではの微妙なバランス感覚と、流行の曲をシンクロさせて流す、というスタイリッシュぶりは際立っています。シャーリーズ・セロンは相変わらずの役作りでアクションシーンもベッドシーンも体当たり。

ストーリーの語り口で何を思い出したかというと「ユージュアル・サスペクツ」。回想をベースにして、任務のスタートからを読み解いていくわけですが、ベルリンで活動中の東西諜報員のリストがKGBに渡るのではないか、というのを軸に、裏切っているのは誰か、真実はどこにあるのか、だんだん境界があいまいになっていくところが面白いです。二重スパイのサッチェル、本当は誰なのか、初回見たときには実はわからなかったのですが、パーシヴァルがリストを解読したときに、明かされているんですかね。

気になるのは、映画全体がスタイルのためのスタイルであって、ある程度進むとちょっと疲れてくるところがあります。ロレーンの行動も、それほど理に適っていたり、鋭い読みに基づいているような感じがしないのも、最近スパイ慣れした目で見るとちょっと物足りないです。

ジョン・グッドマンが実においしいところを持って行ってますね。一時期は分かりやすいコメディーでしか出番がなかった印象ですが、ここにきて邪悪なものから複雑な役まで、なんでもはまります。ジェームズ・マカヴォイは最近「スプリット」「トランス」と見る機会が増えました。上司役のトビー・ジョーンズは、「オルランド」がデビューとは知りませんでした。「ハリー・ポッター」「ネヴァーランド」「フロスト×ニクソン」「モーガン プロトタイプL-9」など、案外いろいろな作品で見ていますね。