ジョン・デンバーが昔から好きだったのでこんな形で使われているとは、という新鮮な驚きがありました。

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これをコメディー映画と言えるのかは微妙ですが、面白い試みだと言えるでしょう。スコセッシが製作総指揮、ということですが、目指したのはどちらかというとタランティーノの「レザボア・ドッグス」じゃないかなぁと思いました。

IRAのメンバーが武器の買い付けを行おうとする一部始終がそのままストーリーで、銃の機種が違うのに取引を続けるのか、下っぱのメンバー同士が全然別件で揉めていて、そこから取引がおじゃんになりかけて、銃撃戦に、という流れ。

ただの撃ち合いだったのが、途中で第三の狙撃手が現れたところから一体黒幕は…?というような話です。タイトルの「フリー・ファイヤー」は、「ところかまわず撃ちまくり」ぐらいの意味でしょうか。

銃撃戦で、あまりちゃんと隠れる場所がない、ということと、一人一人の銃の腕前なんて、現実にはたかが知れていて、弾というのはそうそう当たらない、というところが妙にリアリティーがあって、案外楽しめましたよ。

前半の、無駄に緊張感を強いるやりとりも、それぞれの仕事のスタイルをかっこつけようという無駄な努力がちょっと面白いですね。誰にも正義がなく、後半はスーツケースに納まった金を誰が手に入れるか、ということになるのですが、そこまで見る側が引き込まれて感情移入するキャラクターがいるか、というのが問題だったかなと思います。

元々がどうでもいいことがきっかけで始まった争いなので、そこに誰かが裏切っている、その真相に至るまでに紆余曲折がない、電話を争奪する、だけでは弱い、などプロットの弱点はありましたが、音楽・銃声はとても効果的でうまく使われていたと思います。個人的には死んだかと思われていたマーティン復活のくだりが好きでした。