
強く感じたのはスパイ行為が平然とはびこる現代社会とその不毛さへの痛烈な皮肉でしょうか。表層的なことがらに意味を見いだそうとする行為の無意味さ、とも言えるかも知れません。どうせ人間のすることなんて、そんな深い意味はないよ、と言ってしまえばそれまでですが。
同時に、自分の運命の主人たろうとする主人公たちは必ず裏切られる、という人生の悲哀でもあるでしょう。ダメダメな主人公たちばかりが登場するブラック・コメディとして、なんとなく共感してしまう自分にも幾分かの悲しさを感じてしまいます。
ただ、そうであるにしても、一人一人の登場人物の中の行動原理、というのはある程度一貫してしかるべきで、そこに見事なまでの整合性や必然性があったか、というとそれはちょっと弱いかも。
大好きなティルダ・スウィントン始め、芸達者な役者が揃っていたので、全体として楽しんだ、とは言えます。