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テンシュテットは大好きなのです。

東ドイツの生まれで、ベルリンの壁が崩壊するよりも前に亡命してきて西側の音楽界で活躍していた人です。これからというときに喉頭ガンで亡くなってしまいましたが、ロマン派、特にマーラーでは信じられないような演奏を聴いたことがあります。

その昔、ベルリン・フィルに招かれてザルツブルグ音楽祭で演奏したブルックナーの8番をFM放送で聞いたことがあります。ところどころ破綻の危険を見せながらも、ベルリン・フィルの勉強熱心ぶりもあって、なかなか熱い演奏だったとおもいます。

この演奏もほぼ同時期なのでどうかな、と思ったのですが…。

まずすべりだしからしてぎくしゃくします。極端なテンポの揺れが、かなり唐突に起こり、背景も主題もない感じ。かなりやばいです。

しかも録音がそうとうひどい。ホールエコーはそれなりに聞こえるのに、遠近感を無視したような、ブラスと弦の直接音。せっかくのライブ演奏なのに混ぜ物感がたっぷり。ラジオで放送した音源だと思うのですが、BBCでもこんなひどい仕事するのかなぁ。

2楽章あたりまでいってやっとちょっと落ち着き、3楽章ではそれなりの高揚感を見せたものの、やはり造形力の弱さが目立ちます。

テンシュテットは、1981年のこの演奏の時は、常任だった北ドイツ放送交響楽団と演奏旅行中にケンカ別れして、ロンドン・フィルと接近しているところ。まだ円熟期にはほど遠く、オーケストラの方も意図を汲み切れずに外面的な表現に終わっている所が目立つ感じです。

ベルリン・フィルと比べるのも酷でしょうが、ちょっと地力の差が出てしまいましたかねぇ。テンシュテットの方も、北ドイツ放送交響楽団との演奏は大好きなんですが、ロンドン・フィルとの演奏ではまだ「あたり」に出会ってないかんじです。