
で、役所広司がどうも主役っぽいぞ。それからアシスタントの女の子といい雰囲気らしい、なんてことが少しずつわかってくるんですが。。。。
最初はいろんな人物がいろんな悩みやトラブルを抱えていて、それが微妙に絡み合って、大晦日のカウントダウンを迎える頃には新しい展開を迎えている、みたいな話なんでしょうな。
実際、最後の方に行くと「まあ、よかったか」みたいなユルい感動があったりして、まとまってくるんですが。
でも実際に声を出して笑える瞬間が本当にどれだけあったか、というとこれが2、3回程度でしょうか。それぐらい、「入っていきづらいストーリー」でした。
一つには、役所広司がちょっと太り過ぎていること。Shall We Dance?の頃と比べるのは酷かもしれませんが、彼によってこのホテルが支えられている、と受け止めるには、あまりにも溌剌さが欠けているように思いました。また、ホテルマンとしての顔と、元奥さん(最初藤真利子かと思ったのですが、原田美枝子でしたな)の前では見栄を張ってしまう、それから普段はみんなの前ではあまり情に厚いところを見せない、などの区別が、映画を見ている側にとってはそれほどデフォルトに刷り込まれてこないのが、ちょっと歯がゆい。
同じことは脇道の縦軸を形作る、愛人に間違えられてしまう松たか子にも言えます。彼女の迷いや悩みが形をとらないので、大富豪との関係を清算しろ、と迫られていくうちに変化していく彼女の内面というものがよくわからない。だから後で悟りを開いて説教する彼女のセリフが唐突に聞こえてしまうのかな、と思います。
で、トータルでは「夢をあきらめるな」みたいな安直なメッセージが、香取慎吾のベルボーイの夢とオーバーラップして終わるので、なんだかなぁという気持ちになってしまうのです。
端的に言うと、登場人物が多すぎて使いこなせてない、ということなのでしょうが、会話自体もテンポはコメディーですが、内容はちょっと古くさい新喜劇みたいなベタな説明が多く、誰の目線で笑っていいのかがわからない感じです。大御所的な伊東四朗や西田敏行、津川雅彦あたりは、それでも存在自体がおかしいので空気感でもつのですが、松たか子、香取慎吾クラスはちょっと厳しいですな。川平慈英はちょっと健闘していたと思いますが、それでも良さが出たのは終盤になってからでした。
イギリスのシチュエーションコメディのような、テンポの良いおかしみを出すには、変人たちに対して怒ったり戸惑ったりする常識人がどうしても必要なのですが、この映画の場合そういう存在がいない。なのにテンポだけはそういうものを真似している嫌いがあり、三谷幸喜作品はそういう意味で僕にはあんまり面白くないみたいです。このまえやっていた古畑任三郎も、逆に同じような速い会話のテンポで、ミステリーをやっているんですが、頭を使って犯人のとまどいや焦りを表現すべきときに、考えるより先にセリフが出てしまうような脚本/演出なので、これはミスマッチだな、と思ってしまいました。
そんななかで、今回一番面白かったのは、YOUです。映画を通じて一番笑えたのは彼女の「死んだ!」というセリフだったし、一番感動的だったのは彼女の歌でした。彼女はバラエティーに出てもクイズに出ても、ドラマでも、自分自身をやっていて、しかも天才的に面白いですね。大好きです。