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本当は「フライト・プラン」の方が正確なような気もしますが、まあそこは抑えて抑えて。

ジョディ・フォスターの久しぶりの主演作、ということで来日キャンペーンもあったりして、華やかなので「面白いのかな」という気についさせられます。知り合いのオンナのコも「これは見とかなきゃ」なんて言ってたのですが、その子は僕と行ってくれる気はさらさら無さそうなので、仕方なく歌舞伎町オールナイト作戦。

で、大画面で久々に見て、やはり「タクシードライバー」の天才子役からは、年をとったなぁ、という印象がまず漂います。まあ、ドイツでいきなりダンナを亡くしてニューヨークに悲しみの帰国、という筋立てなので、にこやかに若々しくされてもしらじらしいとは思うのですが、それでも、年月というものの重みを感じさせますね。

で、帰国途中の飛行機の中で、一緒に飛行機に乗ったはずの6歳の娘が消えてしまう、というのが事件の発端。彼女は騒ぎ立てて飛行機の乗客全員を巻き込んでの騒動をおこすのですが、少女は見つからない。その真相は…?というお話です。

2階建てのエアバス、というんでしょうか。巨大な飛行機の中を自由に動き回るカメラの動きはなかなかで、閉塞感や乗客の戸惑い、というものはよくでているのかな、と思いました。

映画の序盤から、「ん、らしくないな」のオンパレード。何かというと、ジョディ・フォスターともあろうもの、ダンナの一人や二人死んだくらいであんなふうに取り乱したり、神経質に泣きわめくわけがない。いくら娘がかわいかろうと、冷静に割り切って犯人に復習する、くらいの冷静さがあるんじゃないか、というのがこちらとしての期待感。なぜそうなっているのか、は筋が進むにつれてわかっていくのですが、要するにこれは観客のシンパシーを主役のジョディから引き離す、大衆心理の操作が目的なのです。その仕掛けが機能している限りにおいてはまあ、面白い試みだった、と言えるのかもしれません。

問題は、その仕掛けが見透かせてしまったあとは、ただずさんなだけの物語になってしまったところでしょう。実際、どんでん返し、と思ったもののちょっと冷静に考えてみるとあり得ないことばかりのオンパレード。最後の決着もちょっと乱暴すぎてついていけませんでした。記者会見で「母親の娘に対する愛情の強さに打たれてこの役を引き受けた」などと言ってましたが、本当に脚本を最後まで読む力があったら、引き受けなかったんじゃないのかなぁ。それとも、監督の力不足かな。

映画全体の中にも、名の知れたキャストというのはジョディぐらいなので、そういう意味でも彼女のソロ・プレイに依存する部分が非常に大きく、なんだかつらいです。去年見た「ダーク・ウォーター」のジェニファー・コネリーと比較してみると面白いのですが、同じシングル・マザーの物語でありながら、母親としてのプレッシャーや置かれた環境の描き方のディテールは圧倒的に「ダーク・ウォーター」の勝利ですな。ジョディの職業が飛行機のエンジンの設計で、飛行機の構造に詳しい、というのが、後で言葉だけでつづられるのですが、これが上滑りもいいところ。才能ある女優でも、作品を選ぶ才能があるとは限らないのかも。

似たようなことは同じ「タクシー・ドライバー」主演のロバート・デ・ニーロにも言えるようで、「ケイプ・フィアー」とか、「ボーイズ・ライフ」とか、「フランケンシュタイン」とか、「ハイドアンドシーク」とか、なんであえてこの役を引き受けたのか、よくわからないものも結構あります。ジョディの場合も「コンタクト」とかは、人物の実像とは合っていたのかも知れませんがかなりビミョーな路線だったように思います。

ちなみにこの映画ではかなり重要な役柄のフライトアテンダントの中に、浅丘ルリコそっくりの美人が出てきます。見るならば要チェックですぞ。