
日本と韓国を舞台に描かれるのですが、韓国の大統領まで登場するややものものしい道具立て。日本側の主人公は、というと韓国に留学でもしようか、と考えている大学生。ところがその彼が瀕死の韓国人からとあるものを預かったのがきっかけで国際的な陰謀の渦中にいることに次第に気付く、というのがおおぐくりなプロットでしょうか。
途中で自分にもおぼろげながら記憶に残る日韓の間の出来事・事件があり、そういう意味での感慨もありますが、歴史的な流れの中での日韓米のスタンスの変化、中国と北朝鮮をめぐる状況の変化などが、なかなか説得力をもって描かれています。まあ100パーセント鵜呑みにしてもしょうがありませんけど。
登場人物が少ないのは、名前を覚えるのが苦手なものとしてはありがたいのですが、肝心の謎の部分は真ん中あたりで大部分明かされてしまって、あとは後半の人間ドラマに焦点が絞られてしまうのですが、もう少し謎解き要素を引っ張ってくれてもよかったかな、というのと、途中であっちについたりこっちについたりする裏切り者がいたりして、それがあまり魅力ある人物には見えないのが残念です。ねずみ男に物語の決着を左右されてもありがたくないですからね。
エンディングはやや甘っちょろいかもしれませんが、主人公・作者含めて若さゆえの清々しさもあっていいんじゃないかと思いました。