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ちょっと久しぶりに種ともこさんのライブの招待所をもらったので、行ってきました。遊佐さんのライブといい、続くときは続くもんですな。

実はかなり前からこの種さんのファンなのです。僕は。いまだにファンクラブにも入ってたりして。いや、別に人がそんなにファンでなくても全然構わないのですが、メロディセンスと声だけでも十分すばらしくて、あと歌詞がいい曲があるとさらによくなる、という感じです。一般受けはあんまりしなくて、どちらかというとミュージシャンズ・ミュージシャン的なポジションに甘んじているのが現状ですが。

先日事務所を移った、という話は聞いていて、ニューアルバムも聞いたので、ちょっと楽しみにして会場の新宿FACEに向かいました。昔のリキッドルーム時代には行ったことがないのでどこだろうと思ったら、歌舞伎町オールナイトで映画を見るときに、時間があくとよく入っていた「ロッテリア」の真向かいでした。どうも検索してみてもプロレスの興行が入っていたりすることもあり、多目的ホールになっているようです。

会場に入るとやはり座席は仮設のようでほぼパイプ椅子が並んでいるだけ。入りは満員とは言えませんが、まあほぼ埋まっているかな、という感じです。開演前に会場で流れていたのがなぜか「カーペンターズ」。この時点ですでに「あ、種さん変わったなぁ」とか思いました。以前ならば歌詞も聞き取れないような洋楽のロックがガンガン流れていたと思うのですが、こういう分かりやすいポップスが流れるとは意表をつかれました。

で、おもむろにメンバーが登場して、種さんも登場。いきなり一曲目が「カナリヤ」。ニューアルバムの表題曲です。

この「カナリヤ」をCDで聞いた時点で、種さんのこれまでとは違う、ある種の覚悟のようなものが聞き取れたような気がして、ちょっとぞくぞくっとしたのですが、これは「たとえのたれ死んでも、あたしは歌い続けるんだ」という決意表明なんじゃないかと、僕は勝手に受け取っていて、大好きな曲です。それ以外にもこの「カナリヤ」というアルバムは、かつてのポップス路線に回帰した、とは言わないまでも、ギンギンのバンドサウンドに乗せた、どこか無理して突っ張ったような部分が後退して、ストレートかつシンプルにメロディーを伝える、という作業に徹していたのが印象的でした。トータルなサウンドバランスも、声を生かすためのアレンジ、PAという感じでいつもの仲間が絶妙にもり立てていました。そうそう、メロディーだけで種さんは十分に魅力的なんだよなぁ、と思ってしまいました。

それで2時間があっという間。まったく昔の曲に頼らなくても、全然もってしまうくらいの楽しい時間が過ごせましたよ。最後にお知らせが。来年でデビュー20周年なんだそうで、それを記念して、マンスリーライブをやっていくんだそうです。「年最低6回はやりたいです」なんて言ってましたが、それじゃマンスリーじゃないんですけどね。

それで、この種さんの変化についてもちょっと考えたのですが、純粋にマネジメントが変わったことだけではきっとないのだろうな、とも思いつつ、でもマネジメントが変わったことも同じぐらい大きいのだろうな、と思ったりしました。前のマネージャーさんも知ってるので思うのですが、前のところはきっと「そのままの種さん」を尊敬/尊重しすぎていたんじゃなかろうか、と。一人の人間として尊敬してしまうと、楽曲へのダメ出しもしづらくなるし、本人の意向をできるだけ生かす方向で何事も進めていこうとする傾向にあるんですが、それは必ずしも広く受け入れられる方向性とは限らないわけで。そういう意味での楽曲も商品なんだ、という視点が少し種さんの場合は必要なんじゃなかろうか、なんて思ったりしましたよ。

もちろん、事務所を変わらざるを得なくなった、という時点で種さんの中にも若干の変化が生じたんだろうな、とは思いました。自分と、世界との関わりにおいて、自分の曲をどう世間に届かせるか、聞いてもらうか。

でその結果、これだけできちゃうんだからすごい人だな、と思いつつ、この10年ほどの試行錯誤が本当に必要だったのかどうか、若干疑問だったりもして。

でもそれだけすごいものがいろいろ生まれた、奇跡的なライブでしたよ。